1. 対読売裁判が福岡高裁で結審  催告書の名義人を偽って裁判を起こした江崎法務室長に賠償責任は生じるのか?

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2013年01月24日 (木曜日)

対読売裁判が福岡高裁で結審  催告書の名義人を偽って裁判を起こした江崎法務室長に賠償責任は生じるのか?

読売新聞社がわたしに対して提起した3件の裁判が「一連一体の言論弾圧」にあたるとして損害賠償を求めた裁判の控訴審が、23日、福岡高裁で結審した。 判決は、3月15日に言い渡される。

3件の裁判の概要は次の通りである。

■著作権裁判

わたしが新聞販売黒書に掲載した読売・江崎法務室長の催告書を巡る裁判。 江崎氏は、催告書はみずから執筆した著作物なので、わたしに公表権はないと主張した。

(催告書の全文=ここをクリック)

しかし、東京地裁は、催告書の執筆者は江崎氏ではなく、読売の代理人・喜田村洋一自由人権協会代表理事か、彼の事務所スタッフの可能性が極めて高いと認定し、江崎氏の訴えを退けた。高裁、最高裁も下級審の判決を認定して、わたしの勝訴が確定した。

■名誉毀損裁判1

読売が2008年3月1日に断行したYC久留米文化センター前の改廃に伴って、実施された店舗からの折込チラシの搬出を、わたしが新聞販売黒書で「窃盗に該当」と評価した。これに対して読売は、「窃盗に該当」は事実の摘示であると主張。店主の許可を得てチラシを搬出したので、わたしの記事は事実に反し、名誉毀損にあたるとして、2230万円のお金を支払うように要求してきた。

地裁と高裁は、わたしの勝訴。しかし、最高裁が読売を勝訴させ、わたしを敗訴させることを決定して、東京高裁判決を差し戻した。これを受けて東京高裁の加藤新太郎裁判官が、わたしに110万円の支払いを命じた。

■名誉毀損裁判2

週刊新潮に掲載した記事の中で読売の「押し紙」率を約40%と推論したところ、読売が提訴した。読売は「押し紙」率40%は事実の敵示であり、事実に反するとして、5000万円のお金を支払うように求めた。

裁判の中で、読売は同社には、「押し紙」は1部も存在しないと主張。裁判所もそれを認定した。

(「押し紙」は1部もないとする読売・宮本副社長の証言=ここをクリック)

判決は読売の勝訴。裁判所は新潮社とわたしに、総額385万円の支払いを命じた。内訳は次の通りである。

読売本社に対して:220万円

大阪本社に対して:110万円

西部本社に対して:55万円

高裁も読売の勝訴。裁判は、現在、最高裁で継続している。

◆福岡高裁での争点

福岡高裁での争点は、ほとんど著作権裁判だけに絞られた。 ? 読売の江崎氏が催告書の名義を自分に偽って提訴に及んだ行為の責任が追求されたのである。ちなみに「催告書の名義を自分に偽った」という主張は、著作権裁判の中で裁判所が事前に認定している。

(知的財産高裁の判決・認定部分=ここをクリック)

虚偽の事実を前提にして、わたしを裁判にかけたという認定に等しい。もともと江崎氏には、提訴の権利がなかった。それにもかかわらず提訴に及んだのである。その原因が、「押し紙」報道などを口封じすることにあったというのが、黒薮側弁護団の主張である。

かりに最高裁が事実認定しているこの事件で、江崎氏らがなんの賠償責任も負わないとなれば、司法制度そのものの秩序が崩壊しかねない。嘘を前提に他人を法廷に立たせてもかまわないことになるからだ。

◆裁判史上で初のケース

この事件については、その重大性に鑑みて、読売・江崎氏に対する裁判とは別に、催告書を作成したとされる喜田村洋一自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求も申し立てている。

現在、喜田村弁護士が所属する第2東京弁護士会は、2年近い歳月をかけて、この事件の綿密な調査を行っている。日本の裁判史上、催告書の名義を偽って対抗言論を展開するフリーライターを提訴した事件は前例がない。

ちなみに、読売の渡邉会長は、2008年に旭日大授章を受けている。

(喜田村弁護士に対する懲戒請求の準備書面=ここをクリック)?