損害賠償裁判の控訴審、福岡高裁が江崎と黒薮の尋問を決定
読売が起した3件の裁判が「一連一体」の言論弾圧にあたるとして黒薮が損害賠償を求めた裁判の控訴審(1回目)が7日、福岡高裁で開かれ、木村元昭裁判所は、12月12日に黒薮と江崎法務室長の双方に対する尋問を行うことを決めた。読売は即日の結審を主張したが、裁判官による合議の末、尋問を行うことになった。
合議に先立って黒薮側の小林正幸弁護士が意見陳述を行った。小林弁護士は、読売が提起し、後にこの裁判の訴因となった3件の裁判のうち、わたしが勝訴した著作権裁判に絞って原審判決の間違いを指摘した。
「黒書」でも繰り返し報じてきたように、この裁判は江崎氏が送付した催告書をわたしが、怪文書と判断して「黒書」に掲載したことが発端となっている。江崎氏は、催告書の削除を求めて、わたしを提訴。催告書は自分が作成した著作物であるから、わたしに公表権はないというのが提訴の理由だった。
ところが東京地裁は判決の中で、催告書は江崎氏が作成したものではなく、喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)か、彼の事務所スタッフが作成した可能性が極めて高いと認定して、江崎氏を敗訴させた。
つまり江崎氏は自分で催告書を執筆していないにもかかわらず、著作者人格権(注意:著作者人格権は、著作者財産権とは異なり、他人に譲渡できない)を主張して、催告書の削除を求める主張を展開したのである。
知財高裁も最高裁も、東京地裁の判決を認定して、2010年にわたしの勝訴が確定した。
つまり著作権裁判の提起は、わたしを法廷に立たせることそのものが目的だった可能性が高い。催告書の名義人を偽ってまで、わたしを裁判にかけた理由が他に考えようがない。その後も読売は2件の裁判を起しており、これら一連の裁判がSPAPPに該当するというのが黒薮側の主張である。
当然、それにより被った経済的、精神的な被害は救済されてしかるべきである。 ? ところが福岡地裁の田中哲郎裁判長は、わたしが受けた被害を認めなった。小林弁護士は、原審の誤りを次のように指摘した。
被控訴人江崎が、意図的に虚偽の事実を主張し、虚偽の事実に基づいた存在しない権利を主張して提訴したことは余りに明らかです。 ところが、原判決は、本件催告書の作成者が誰であるかを一義的に決することは困難であり、被控訴人江崎が著作権の帰属に係る法的評価を誤ったこともやむを得ない、などと判示しました。
福岡地裁の田中裁判長は、本人尋問を実施せずに、このような判断を下したのである。
ちなみに読売が著作権裁判提訴の2週間後、2008年3月にわたしに対して2230万円のお金を支払うように求めて起した名誉毀損裁判では、地裁、高裁は読売の請求が棄却されたものの、最高裁が読売を逆転勝訴させる決定を下し、差し戻し審で110万円の支払いを命じた。