1. 野村武範判事の東京高裁での謎の40日、最高裁事務総局が情報公開請求を拒否、透明性に疑惑がある事務局運営の実態

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野村武範判事の東京高裁での謎の40日、最高裁事務総局が情報公開請求を拒否、透明性に疑惑がある事務局運営の実態

今年の1月19日付けで筆者が、最高裁事務総局に対して申し立てた2件の情報公開請求を拒否する通知が到着した。通知の交付日は、3月24日である。情報公開請求の内容と通知内容は、次の通りである。

《請求A》
1、開示しないこととした司法行政文書の名称等
 野村武範判事が東京高裁に在任中(令和2年4月1日から令和2年5月10日)に、担当した事件の原告、被告、事件の名称、事件番号が特定できる全文書

2、開示しないこととした理由
1の文章は、作成又は取得していない。

《請求B》
1、開示しないこととした司法行政文書の名称等
 野村武範判事が令和2年5月11日に東京地裁に着任した後に担当した事件の原告、被告、事件の名称、事件番号が特定できる全文書

2、開示しないこととした理由
1の文章は、作成又は取得していない。

裏付けの原文

【参考記事】最高裁事務総局に対して3件の情報公開請求、産経新聞「押し紙」事件の野村武範裁判長の職務に関する疑問、東京高裁在任が40日の謎

 

◆なぜ情報公開請求を行ったのか?

なぜ筆者は、野村武範判事に関する上記2件について情報公開請求開示を行ったのか?
結論を先に言えば、それは野村武範判事に関する人事異動に常識では考えられない、不自然な事実があるからだ。あくまで筆者の主観による判断だが、珍しい、なにか特別な目的を持った恣意的な人事異動に思えたからだ。順を追って説明しよう。

次に示すのが野村判事の人事異動歴である。赤の部分に注目してほしい。

R 2. 5.11 東京地裁判事・東京簡裁判事
R 2. 4. 1 東京高裁判事・東京簡裁判事
H29. 4. 1 名古屋地裁判事・名古屋簡裁判事
H25. 4. 1 最高裁裁判所調査官(東京地裁判事・東京簡裁判事)
H22. 4. 1 東京地裁判事・東京簡裁判事
H21. 4.11 大分地家裁判事・大分簡裁判事
H18. 4. 1 大分地家裁判事補・大分簡裁判事
H16. 4. 1 検事
H16. 3. 1 最高裁総務局付(東京簡裁判事・東京地裁判事補)
H14. 4.11 函館簡裁判事・函館家地裁判事補
H13. 4. 1 函館家地裁判事補
H11. 4.11 東京地裁判事補 
■出典

検証を要するのは、東京高裁に着任したあと、東京地裁に異動するまでの期間が、40日しかない事実である。野村判事は、2020年(令和2年)4月1日に、東京高裁に着任して、同年の5月11日に東京地裁へ異動している。

東京地裁に着任した直後に、なぜか産経新聞「押し紙」裁判の裁判長に着任した。コロナウィルスの感染拡大で緊急事態宣言がだされ、東京地裁での審理がほとんど中止になった時期である。5月である。そして緊急事態宣言が空けると、野村判事は早々に裁判を結審させ、原告の元販売店主の請求を棄却する判決を下したのである。

この裁判では、既報したように、裁判所が2度にわたり産経新聞社に対して和解金の支払いを提案していた。つまり判決が下れば、賠償額の大小はともかくとして元店主が勝訴する確率が高かったのだ。新聞社による「押し紙」政策の判例が、東京地裁でも誕生する公算が濃厚になっていたのである。

野村判事が執筆した判決文は、司法判断の論理が破綻していて、「請求の棄却」を前提として判決文をでっちあげたとしか解釈できない。「押し紙」の存在を認めながら、損害規模が少ないからといった理由にならない理由を根拠に、損害賠償請求を完全に棄却しているからだ。

当然、この裁判が、「報告事件」に指定されていた疑惑が浮上した。そこで調査の第一段階として、野村判事が東京高裁での40日間にどのような仕事をしたのかを具体的に知るために、筆者は情報公開請求を行ったのである。

ところが最高裁は、情報公開請求の内容に合致する文書は存在しないという理由で、不開示を決めたのである。

◆事務局の透明性に重大な問題

裁判資料は行政文書ではなく、情報公開請求の対象にならないことぐらいは、筆者も知っている。しかし、どの裁判官がどの裁判を担当しているのかを、事務局の立場で把握しておかなければ、裁判所としての機能が働かないはずだが。

が、最高裁事務総局は、該当する文書は、「作成又は取得していない。」という理由で情報公開請求を拒否したのである。

ちなみに最高裁事務総局の決定に対する不服を申し立てる制度はない。理由を説明する必要もない。問答無用、斬り捨て御免の世界になっている。

現在の最高裁事務総局には、透明さに問題があるのではないか?