1. 新聞販売店から内部告発、「『押し紙』に相当する部数は最初から印刷されていない」、用紙代・印刷費・運搬費の節約が理由

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2018年08月14日 (火曜日)

新聞販売店から内部告発、「『押し紙』に相当する部数は最初から印刷されていない」、用紙代・印刷費・運搬費の節約が理由

新聞販売店から「押し紙」が回収される光景が消えつつあるようだ。「押し紙」が減ったことがその原因ではない。「押し紙」に相当する部数を最初から印刷しなくなっているのが原因のようだ。

この種の話はかねてから耳にしてきたが、このほど新聞販売店の関係者から内部告発があった。現役の従業員なので、告発者の名前も新聞社名(中央紙)も明かさないが信憑性のある情報だ。

「押し紙」とは、新聞社が販売店に搬入する過剰な新聞のことである。たとえば購読者が1000人しかいない販売店に、1500部の新聞を送りつけ、差異の500部についても、卸代金を徴収すれば、この500部が「押し紙」である。

表向きは、販売店に搬入した新聞は全部配達されているという建前があるので、大半の新聞社は残紙が発生することを承知の上で、過剰な部数を搬入する。

「押し紙」は本来であれば、古紙回収業者によって回収される。

ところが最近は、帳簿上は搬入された全新聞が配達されたことにしておいて、「押し紙」部については部数だけ(配達部数として)計上し、実際は最初から印刷もしなければ、搬入もしないのだという。

理由は経費の節約である。新聞の用紙代、印刷代、運搬費、それに古紙回収費を節約するのが目的である。さらに「押し紙」回収をビデオ撮影されるリスクもなくなる。

新聞社経営が急激に傾くなかで、新聞人はこうした方針を決めたのだろう。これが40年、あるいは50年と日本の新聞ジャーナリズムの先頭に立ってきた人々の判断である。

◇広告代理店の倒産

今回の情報提供では、折込広告についての言及はなかったが、「押し紙」とセットになっている折込広告が印刷されていなかった事例は、過去に発覚している。次の記事を参考にしてほしい。

折込広告「折り込め詐欺」から「中抜き詐欺」へ、253万枚のうち67万枚を秘密裏に「廃棄」、被害額約250万円、広告代理店・アルファトレンドが広告主に提訴され、全額賠償+弁護士費用で和解

この事件を起こした広告代理店は、事件が発覚したのち倒産した。

次の動画は、従来の「押し紙」回収場面である。

 

■写真:「押し紙」と一緒に大量廃棄される選挙用のチラシ