1. 佐賀新聞・販売店が提起した仮処分申し立て事件、販売店が勝訴、実質的に佐賀新聞の「押し紙」政策を認定

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2017年04月02日 (日曜日)

佐賀新聞・販売店が提起した仮処分申し立て事件、販売店が勝訴、実質的に佐賀新聞の「押し紙」政策を認定

佐賀地裁(森山由孝裁判官)は、3月29日、佐賀新聞のA販売店が申し立てていた地位保全と「押し紙」の中止を求める仮処分に対して、店側の主張を認める決定を下した。しかし、仮処分の有効期間については、2018年3月31日までの1年間とした。

経緯は次の通りである。

店主の代理人弁護士は、店主に対して、「販売店経営に必要な部数だけを注文すること、新聞社が従前の部数を提供してきた場合は、押し紙の部数の仕入れ代金の支払いは保留しておくこと」を指示したうえで、佐賀新聞社に対して「押し紙」の中止を申し入れた。

しかし、佐賀新聞社は申し入れに応じなかった。販売店からの注文部数を超えた部数を供給することは、独禁法の新聞特殊指定に違反しているにもかかわらず、それを指摘した弁護士の要請を拒否したのである。

そこで店主は、「押し紙」分の仕入れ代金の支払いを拒否するようになった。その結果、「押し紙」の「未払い金」が累積。それを理由に佐賀新聞社は、2016年12月14日、翌年の3月31日をもってA販売店との商契約を終了する旨を通知した。実質的な強制改廃である。

そこで2月21日に、販売店側が地位保全の仮処分を申し立てていたのである。

なお、A販売店の弁護団は、3月7日に、公正取引委員会の九州事務所に対して、「押し紙」の緊急停止命令(独禁法70条の4)を発令するように申し入れている。

ちなみに、佐賀新聞では、A販売店の店主の他にも、「押し紙」裁判を起こしている店主がいる。次の記事を参考にしてほしい。

【参考記事】佐賀新聞の「押し紙」裁判、江上武幸弁護士ら原告弁護団が訴状を修正・再提出、「押し紙」の定義に新見解を示す

【弁護団声明】

【仮処分の決定・全文】