1. 民主・維新による新党の方針は安倍政権と同じ新自由主義、新進党・民主党に続く3度目の茶番劇

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2016年02月26日 (金曜日)

民主・維新による新党の方針は安倍政権と同じ新自由主義、新進党・民主党に続く3度目の茶番劇

民主党と維新の党が3月中に合流して新党を結成することになった。非自民が本格的に結束するのは、これで3度目である。

最初は、小沢一郎氏が財界に後押しされて新自由主義=構造改革の導入を叫んで自民党を飛び出して組織した新進党。それから民主党。そして今回は、「民主+維新」である。これらの非自民政党に一貫して共通しているのは、新自由主義=構造改革を基本的な政策に据えている点である。

一方、自民党も小泉政権の時代から急進的な新自由主義政党に変化し、その後、一時的な足踏みはあったが、安倍政権下で再びドラスチックに小泉路線を継承しているので、今回の新党結成により、2つの新自由主義政党が政権を競う構図がみたび浮上することになる。これまでの2回は、新党側が完全に失敗したが、それに懲りずに3度目の「挑戦」に踏み出したのである。

民主党と維新の党が発表した合意事項のうち、経済政策は次のようになっている。(番号は便宜上、わたしが付した。)

、新規参入を拒む規制の改革によって、起業倍増を目標に新陳代謝を促し、持続的かつ実質的な経済成長を目指す。

、 経済連携協定によって自由貿易を推進する。ただし、個別具体的には、国益の観点から内容を厳しくチェックし、その是非を判断する。

、地域を支える中小企業の生産性向上のため、研究開発、人材、IT、デザインなど、ソフト面への支援を強化する。

、職業訓練とセーフティーネットを強化した上で、成長分野への人材移動を流動化する。科学者、芸術家、起業家など、クリエイティブ人材の育成と集積を進める。必要な海外からの人材は、計画的に認めていく。

、 同一労働同一賃金と長時間労働規制を実現し、働きがいのある社会を創る。

「5」を除いて、すべて新自由主義の政策である。「規制の改革」「自由貿易を推進」「研究開発、人材、IT、デザインなど、ソフト面への支援」「成長分野への人材移動」など、根本的な部分では自民党と同じだ。

唯一、自民党との対立点は、「今般可決された安全保障法制については、憲法違反など問題のある部分をすべて白紙化するとともに、我が国周辺における厳しい環境に対応できる法案を提出する。」という部分であるが、合意事項の冒頭には、「日米同盟を深化させる」とも述べており、本気で対米追随を断ち切るとは思えない。

◇基本的に自民党の政策と同じ

原発についても当面は再稼働の方向性だ。

、原発再稼働については、国の責任を明確化し、責任ある避難計画が策定されることと、核廃棄物の最終処分場選定プロセスが開始されることを前提とする。

2大政党制の強化をねらった政策もある。

、国民との約束である議員定数の削減を断行する。

参政権を狭めるのが愚策であるのは論を待たない。削減すべきは、政党助成金である。

新自由主義がめざす「小さな政府」の実現目標は、次のようなかたちで表明された。

、職員団体等との協議と合意を前提としつつ、国家公務員総人件費の2割を目標に、その削減を目指す。

消費税の10%アップも是認している。

、消費税10%への引き上げは、身を切る改革の前進と社会保障の充実を前提とする。

中央政府を小さくして、地方自治体に福祉や教育をまるなげして、これらの分野を縮小していく地方分権政策も露骨に打ち出されている。

10、「権限・財源・人間」の東京一極集中を脱して、地域の創意工夫による自立を可能とする地域主権社会を実現する。

11、基礎自治体の強化を図りつつ、道州制への移行を目指す。その際、それぞれの地域の選択を尊重する。

12、国の出先機関をゼロベースで整理し、職員の地方移管を推進する。

13、税源移譲や国庫補助金の一括交付金化、地方交付税制度の見直しを含め、地方財政
制度を見直す。

「11」に至っては橋下徹氏の主張である。

◇新自由主義と軍事大国化は同じ土壌

そもそも新自由主義の経済政策を中心に据えた場合、それに連動して軍事大国化の方針が浮上するのが自然の流れだが、この点に関しては、世論の批判を警戒しているのか隠している。むしろ自民党の方が、トランプ氏流に、本音をむき出しにしている。

新党が本当に安保関連法案に反対するのであれば、海外市場をターゲットとした経済政策-新自由主義と決別しなければならない。

夏の参院選では、一部の選挙区で野党共闘が実現する。共産党がかなり自分を押し殺して、野党共闘の形を整えたといえるだろう。だが、問題は新自由主義の経済政策を諸悪の根源と考えている人々は、投票先を失ってしまうことである。左派の受け皿がなくなってしまった。

そもそも新自由主義と軍事大国化は表裏関係にある。片方だけを取り下げることは、本来はありえない。

■民主・維新の基本的政策合意(案)