1. 安倍首相と報道関係者との会食、山本太郎議員が質問主意書、小林秀雄ら戦前にも風に靡く文化人

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2015年01月05日 (月曜日)

安倍首相と報道関係者との会食、山本太郎議員が質問主意書、小林秀雄ら戦前にも風に靡く文化人

第2次安倍政権が発足してから2年になる。この間の安倍首相と報道機関の親密な関係が批判の的になってきたが、昨年の12月24日、山本太郎議員が、公式に質問主意書のかたちで、この問題を指摘した。

質問主意書は8ページからなり、冒頭で安倍首相がこの2年間で報道関係者との会食を40回以上も重ねている事実を指摘して、「政権のトップとメディア関係者の親密な関係、メディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない」と述べている。

さらに飲食に関しては、報道関係者だけではなくて、企業や団体の関係者とも会食を重ねていることを指摘している。

一連の会食のうち、質問主意書では、具体的にいくつかの会食を指摘して、会計に関する明細を明らかにするように求めている。たとえば次の会食である。

特定秘密保護法が成立した10日後の2013年12月16日に、東京・赤坂の中国料理店で行われた会食。

安倍首相が初めて靖国神社を参拝した2013年12月26日に、東京・赤坂の日本料理店で行った会食。

消費増税が施行された2014年4月2日と翌3日に、行った会食。(料亭名は記されていない)。

2014年12月14日に行われた衆議院議員総選挙の2日後にあたる12月16に、東京・西新橋のすし店で行った会食。

会食に関する経理問題に加えて、山本議員は政府見解を求めている。

◇「アメと鞭」の政策

戦前から現代にいたるまで、国策を進めるうえで報道関係者(特に新聞)や文化人が果たしてきた負の役割は重大だ。しかし、両者が癒着する原因は、単に情交関係だけではなくて、利権がからんでいる。この点を見落としてはならない。

まず、新聞社についていえば、政府により新聞社の経営上の弱点を握られている事情がある。弱点を握ることで、政府は「アメと鞭」の政策を進める。たとえば次の「アメ」である。

①再販制度という既得権益。

②新聞に対する軽減税率の適用。

③本来、公取委が取り締まるべき「押し紙」問題の放置。

④本来、警察が取り締まるべき「折込チラシ詐欺」問題の放置。

⑤記者クラブを通じた情報提供。

⑥安倍首相による新聞社に対する単独インタビューの提供。

◇フリーランサーの経済的事情

一方、文化人に関して言えば、雑誌を見ればすぐに分かる。読者は昨年の朝日バッシングに、文化人の誰が便乗したかを、次の記事を参考に検証してみてほしい。

朝日バッシングに見る国際感覚の欠落、雑誌ジャーナリズムにおける海外との質の差が顕著に

おそらく背景に、フリーランサーの経済的事情があるのではないか?

ちなみに文化人が時の政権にすり寄る傾向は、昔からあったようだ。たとえば半藤一利氏の『昭和史』(平凡社)は、太平洋戦争直後の文化人のコメントを紹介している。小林秀雄、亀井勝一郎、横光利一といった人々である。

中島健蔵:「(これは)ヨーロッパ文化というものに対する一つの戦争だと思う」

本多顕彰:「対米英宣戦が布告されて、からっとした気持ちです。・・・・・・聖戦という意味も、これではっきりしますし、戦争目的も簡単明瞭となり、新しい勇気も出て来たし、万事やりよくなりました」

小林秀雄:「大戦争がちょうどいい時にはじまってくれたという気持ちなのだ。戦争は思想のいろいろな無駄なものを一挙になくしてくれた。無駄なものがいろいろあればこそ無駄な口をきかねばならなかった」

亀井勝一郎:「勝利は、日本民族にとって実に長いあいだの夢であったと思う。即ち嘗てペルリによって武力的に開国を迫られた我が国の、これこそ最初にして最大の苛烈極まる返答であり、復讐だったのである。維新以来我ら祖先の抱いた無念の思いを、一挙にして晴すべきときが来たのである」

横光利一:「戦いはついに始まった。そして大勝した。先祖を神だと信じた民族が勝ったのだ。自分は不思議以上のものを感じた。出るものが出たのだ。それはもっとも自然なことだ。自分がパリにいるとき、毎夜念じて伊勢の大廟を拝したことが、ついに顕れてしまったのである」

■山本議員の質問主意書PDF