1. 国策のゴール・特別秘密保護法 だれが構造改革=新自由主義と軍事大国化の国策を煽ってきたのか?

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2013年11月27日 (水曜日)

国策のゴール・特別秘密保護法 だれが構造改革=新自由主義と軍事大国化の国策を煽ってきたのか?

11月21日、東京日比谷公園野音で秘密保護法の廃案をめざす大集会 が開かれた。 参加者1万人が銀座と国会請願デモを行った。

(【動画】秘密保護法の廃案をめざす大集会=ここをクリック)

26日に特別秘密保護法が衆議院を通過した。

この法案が浮上した背景に、橋本内閣の時代から本格化した構想改革=新自由主義の導入と、軍事大国化の国策があることは明らかだ。民主党も含めて政権党の基本方針となってきたこれら2つの柱が行き着いた先が、戦前の治安維持法に匹敵する特別秘密保護法の登場である。

なぜ、政府は特別秘密保護法に異常なこだわりをみせるのだろうか。まず、第一に言えるのは、構造改革=新自由主義を導入した結果、顕著になってきた社会的な矛盾や人々の不満を警察権力によって取り締まる必要性に迫られていることである。力による「社会秩序」の維持である。

現在、非正規社員は全体の約4割を占める。それに加えて消費税率のアップ、福祉と農業の切り捨て、TPPの導入など、国民の生活がますます圧迫されている。その一方で大企業のために、法人税が大幅に減税されている。

これでは国民の不満が爆発しかねない。それを押さえ込むための方策の大きな柱として、「治安維持」を目的とした公安警察主導の特別秘密保護法が浮上したのである。住民運動が世界的な規模で台頭してくる中で、日本の支配層が危機感を強めている証である。

ちなみに住民がいだく不満の「押さえ込み」方法としては、警察による力の政策ではなく、別のモデルもある。それが心の教育(道徳教育)である。安倍首相は第1次内閣の時代には、心の教育の具体策として「美しい国プロジェクト」と呼ばれる愛国心を育てるプロジェクトを立ち上げている。そして現政権になってからも、再び道徳教育の導入を図ろうとしている。

愛国心を育てることで、デモや住民運動から疎遠になるように世論誘導しよという意図が見え透いている。

つまり特別秘密保護法も心(道徳)の教育の奨励も、実は新自由主義体制の防衛という同じ目的の下で策定されているのである。

◇軍事大国化

特別秘密保護法のもうひとつの柱は、米軍との協同作戦を前提とした「秘密」の共有である。そのことはマスコミも報道している。しかし、「米軍との協同作戦」が具体的に何を意味するのかは、ほとんど報道されていない。

結論を先に言えば、日本企業が生産の拠点を海外へ移し、ビジネスの国境が消えた状況下で、軍事力による企業の防衛を米軍と協同で行うことを意味する。 表向きは、海外派兵は「国際貢献」ということになっているが、中身は多国籍企業を政変や住民運動から「防衛」するのが目的である。

このような多国籍企業と自国の軍隊の関係が典型的に現れたのが、前世紀までのラテンアメリカである。ここ半世紀ほどのあいだに米軍は次の地域に軍事介入を行っている。いずれのケースも米国の多国籍企業、特にUFCなどの果実会社の権益が絡んでいた。?????? (UFC=United Fruit Company

■1954年グアテマラ

■1961年 キューバ

■1964年 ブラジル

■1965年 ドミニカ共和国

■1971年 ボリビア

■1973年 チリ

■1979年?ニカラグア内戦

■1980年?エルサルバドル内戦

■1983年 グレナダ

■1989年 パナマ

■2002年 コロンビア

1973年のチリの軍事クーデターについては、日本でもよく知られている。表向きはピノチェット将軍によるクーデターということになっているが、そのバックにCIAがいたことは歴史の共通認識となっている。

当時のチリはイギリスの議会制度を導入した南米の先進国だった。1970年に世界で始めて、選挙による左翼政権を誕生させたのである。政権についたアジェンデ大統領は、外国資本の銅山を国有化した。これに怒った米国が、アジェンデ政権を倒す策動に出て、資本家によるストライキなどが繰り返された。

しかし、73年の大統領選挙でアジェンデが再選され、政権の転覆が不可能であることが明らかになった。そこでCIAが選んだ最後の手段が軍事クーデターだった。

日米関係や特別秘密保護法について考えるとき、こうした歴史の事実にも目を向けるべきだろう。米軍が海外で何をやってきたかという事実の検証である。 それを知れば米軍との協同歩調がいかに危険であるかが見えてくる。

日本における戦後70年の民主主義など、簡単に吹っ飛んでしまいかねない。

ここに来て特別秘密保護法に疑問を呈する報道がようやく盛んになったが、だれが構造改革=新自由主義や軍事大国化を煽ってきたのだろうか。その最大の張本人は、読売などのマスコミではなかったか?