1. 「自民VS民主」の構図は真っ赤なウソ、 小沢一郎氏が提唱した構造改革について考える?

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2013年01月12日 (土曜日)

「自民VS民主」の構図は真っ赤なウソ、 小沢一郎氏が提唱した構造改革について考える?

小沢一郎氏が自民党を飛び出したことで、政界全体が構造改革の方向へ動きはじめた。自民党も旧来の方針から脱皮して、新自由主義政党へと生まれ変わりはじめる。自民党のスポンサーである財界の要望が構造改革の推進であるから、それに沿った路線に軌道修正せざるを得なかったのだ。

◇自民党の「抵抗勢力」

が、問題は従来の自民党政治により恩恵を受けてきた中小企業や農業者の不満をどうかわすかだった。構造改革を進めれば、自民党は票田を失う危険性があった。かくて自民党内に構造改革に反対する「抵抗勢力」が出現したのである。

まず、自民党は社会党と連立を組んで政権を取り戻した。そして 村山政権の時代に小選挙区制を導入。2大政党制の時代に入ったのである。以後、2つの保守勢力が構造改革の急進的な導入と、慎重な導入(抵抗勢力)を巡って、政権を争う体制が確立された。保守による2大政党制が、構想改革を推進する上で不可欠の道具になったのである。

橋本内閣は、急進的に新自由主義を導入した。大型スーパーが地方都市の商店街をつぶしはじめたのはこの時代である。ところが次の政権を取った森と小渕は、導入を減速させた。橋本構造改革に対する批判が強かったからだ。

しかし、やはり盗聴法や国旗国歌法など、とんでもないない法律が成立している。(ちなみに小渕は、当時、新聞販売懇話会の会長だった。)

◇小泉政権の登場

構造改革が足踏みしたところへ登場して情け容赦なく、構造改革を断行したのが小泉だった。しかし、小泉構造改革で貧困層が拡大して、自民党よりも民主党に対する期待が高まってきた。それが政権交代の要因になる。

なお、民主党には、住民サイトに立った政党であるというイメージが浸透しているが、実質的には急進的な新自由主義推進政党にほかならない。   実際、2009年に鳩山政権が成立した後、米軍基地問題で反米のポーズを取ってみたが、結局、財界の意向を無視することができなかった。鳩山が失脚したあと、菅と野田は、再び急進的な構造改革導入へ舵を切ったが、これが民主党本来の姿である。

こんなふうに2大政党制により、2つの保守勢力が国民の不満を吸収しながら政権交代を繰り返し、構造改革を進めているのが、現在の日本の政治である。

このような世論誘導にメディアが加担していることは言うまでもない。   2012年の衆院選では、政権の枠組みが争点になったが、構造改革という柱を基準に、状況を分析すると、自民と民主は対立構造にはなっていない。両方とも構想改革の推進政党である。

唯一の違いは、急進的に構造改革を進めるのか、慎重に進めるのかだけである。しかも、自民党にも民主党にも、急進派と慎重派が存在する。

◇「自民VS民主」は嘘

構造改革の導入そのものに反対しているのは、政党では社民党と共産党だけである。従って政党の対立構造を示すとすれば、自民・民主・公明VS社民・共産という構図が正しい。

このあたりの分析を新聞とテレビは完全に誤っている。維新は、民主党よりもさらに急進的な構造改革推進派である。

このような政治の構図を導入した「立役者」こそ小沢一郎氏ではないか?