1. 沖縄知事選の候補者選び、玉城デニー氏の選出の背景に誤った英雄史観、誰が米軍基地問題に対峙できるのか?

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2018年09月03日 (月曜日)

沖縄知事選の候補者選び、玉城デニー氏の選出の背景に誤った英雄史観、誰が米軍基地問題に対峙できるのか?

新潟県の知事選挙から沖縄県の知事選挙まで、国会での与野党の「対立」構造がそのまま地方に持ちこまれている。中央が主導して候補者選びを進める傾向きが顕著になっている。

柏崎刈羽原発にゆれる新潟県の場合は、最終的には県議の池田千賀子氏が候補になったが、最初に候補者の名前にあがったのは、中央政界の菊田真紀子衆院議員だった。米軍基地問題にゆれる沖縄県の場合もはやり中央政界の玉城デニー衆院議員が候補になった。

それぞれ新潟県、沖縄県の出身者である。

中央から地方へ選挙候補を送り込む戦術は、中選挙区制の時代にはほとんどなかったように記憶している。都道府県知事も、市町村の長も地元の人から選ぶのが恒例だった。

ところが小泉内閣の時代に「落下傘候補」が現れた。2005年の郵政民営化の是非を問う衆院選で、小泉首相はいわゆる「刺客」を投入する戦術に出たのである。

「落下傘候補」は、高い集票力があることを第一条件とした。政治家としての力量は最優先事項ではなかったようだ。つまり議席を獲得するための戦略として行われるようになったのだ。当然、タレントのような候補者も増えた。中には、漢字もろくに読めない人もいるらしい。筆者も銀行のペイオフが何かを知らない議員にあったことがある。集票力だけが、重視されるようになったのだ。

しかも、困ったことに「落下傘候補」の戦術に走りはじめたのは与党だけではない。野党もそれを真似しはじめた。たとえば2009年の衆院選で三宅雪子氏は、群馬4区から出馬して当選したが、2012年の選挙では、千葉4区から出馬して落選した。野田 佳彦首相(当時)の刺客だった。

◇米軍基地の移設と政治の力学

中央政界の玉城デニー氏が沖縄知事選の野党統一候補になったことについて、賛否両論があるようだ。筆者は、野党連合が米軍基地の問題を選挙の争点にするのであれば、地元で反基地運動の先頭に立っているリーダーを候補者にして支援すべきだと思う。

米軍基地の移設といった政治の力学が強く働いている大問題に対峙するためには、この問題に執着を持ち、命をかけ、実際に現場で戦ってきた「戦士」でなければ、途中で頓挫する可能性が極めて高いからだ。

その前例が鳩山由紀夫氏である。鳩山氏の貴族的な育ちをみれば、米国による圧力に対峙できないことは最初から分かっていた。

米軍基地をどう扱うかといった大問題では、必ず政治の力学が働いている。それは政治家個人の能力や人気だけでは、なかなか克服できない。それが出来るのは、実際に現場で戦ってきた人だけと考えるのが正しいだろう。

◇英雄史観による洗脳

しかし、なぜ、人気のある政治家が世界を変革できるという幻想が広がったのだろう。それは学校教育の中で、無意識のうちに英雄史観が植え付けられてきたからである。

この史観は、ひとりの天才的な政治家が現れれば、世界は変化するといった単純な考え方で、実生活に根ざした地道な住民運動などの積み重ねが歴史を動かしているという認識が欠落しているのが最大の特徴だ。

それゆえに集票力がある候補を中央から、地方へ送り込んで選挙に勝てば、それで問題は解決すると単純に考えてしまう。

ちなみに知事という公人を選ぶ選挙の候補者選びで、故人の遺言が最優先させるようなことはあってはならないだろう。