1. 障害者の雇用人数を3460人水増し、架空職員に人件費が支出されている可能性はないのか? 架空の人員と裏金の表裏関係を考える

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2018年08月29日 (水曜日)

障害者の雇用人数を3460人水増し、架空職員に人件費が支出されている可能性はないのか? 架空の人員と裏金の表裏関係を考える

障害者の雇用人数が水増しされていた事件が注目を集めている。

マスコミ報道によると、「厚生労働省は、中央省庁の8割にあたる行政機関で合わせて3460人が水増しされていたとする調査結果」をまとめた。■出典

この3460人という数字は、架空の職員ということになるが、実は数字の水増しよりももっと深刻な疑惑がある。それは3460人分の人件費が架空に計上され、銀行の裏口座などにプールされている可能性である。

筆者がこのような疑惑を抱くに至ったのは、それなりの根拠がある。これまで架空の数字と金銭の出費が表裏関係になっている事例を数多く取材してきたからだ。いわば経験則から、架空職員を設定した裏金づくりの手口を疑っているのだ。

 

◆小沢検察審査会と裏金づくり

小沢一郎氏は、陸山会事件で検察審査会にかけられた。この小沢検察審査会では、架空としか考えられない審査員が設定されていた強い疑惑がかかっている。この問題を調査したS氏が、審査員に事務局から支払われた日当や交通費を、情報公開で開示させたところ、架空とみられる検察審査員の日当や交通費が支出されていた事実があるのだ。

架空とみられる検察審査員に対して、これらの経費を支出しなければ、経理上の矛盾が生じる。それゆえに行われた措置である可能性が高い。

帳簿上で架空の職員を設定すれば、経理の整合性を取るために、どうしてもこうした措置が必要になるのだ。さもなければ会計監査で矛盾を指摘される。

これが、3460人の職員に給料が支払われている可能性を示唆する強い根拠である。

 

◆大手広告代理店の悪用

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、中央省庁(内閣府を含む)と大手広告代理店の取り引きでは、インボイスナンバーを外した大量の請求書が使われている。現在、広告代理店を含む大企業の経理はコンピューターと連動したシステムが導入されているわけだから、インボイスナンバーを付番することは、不可欠なはずだ。クレジットカードにクレジット番号がなければ、コンピューターで管理できないのと同じ原理である。

ところが中央省庁が大手広告代理店から受け取っている請求書からは、インボイスナンバーが故意に外してあるものが多量に含まれている。つまりコンピュータが出力した請求書ではなく、エクセルかワードで作成した「手作り」のものなのだ。

つまり「手作り」の請求書に基づいて、支出された国家予算は、別会計になっていて、正規の会計監査・システム監査を受けていない可能性が高い。ずばり、ここにも裏金づくりの疑惑があるのだ。

ちなみに2012年から2015年の内閣府と博報堂の取り引きでは、インボイスナンバーが外してある請求書が、約64億円分存在する。

もっとも広告代理店の業務では、書面の型式上、人員の水増しは確認できないが、特定の作業に要する人員規模の判断は、「裁量」に基づいているわけだから、見積の段階で恣意的に人員規模を水増しすることはできる。その意味では、小沢検察審査会で使われた手口とは若干性質が異なるが、裏金づくりという点では共通している。

 

◆日本の権力構造の歯車

中央省庁では、裏金づくりはごく普通に行われているといっても過言ではない。記者クラブ依存のマスコミが報じないだけなのだ。報じない理由は極めて単純だ。NHKを筆頭に、マスコミが日本の権力構造の歯車に、「広報部」として組み込まれているからにほかならない。

それが日本をどんどん後進国へ導いている。