東京都内にこんなに安い土地はない、東京オリ・パラの選手村建設用地、元東京都職員が三井や住友へ続々と天下り
臨海部開発問題を考える都民連絡会が発行している『臨海かわら版』(6月18日)が、東京オリンピック・パラリンピックの選手村建設地の販売価格と、それ以外の都内の地価(それぞれの区で最も安い地点)を比較した表を掲載している。
選手村建設用地は、1㎡が約10万円(坪に換算すると33万円)で、「2020 晴海Smart City グループ(ディベロッパーで構成)」へ販売された。通常、土地の取引価格を決める場合は、地価を標準的な販売価格として交渉する大原則があるのだが、選手村建設用地の販売価格は、地価の約10分の1で取引された。都内のどこを探しても、これほど安い土地はない。次に示すのが表である。
この土地取引の手口は、若干複雑なので、どのように法の網の目をくぐり抜けたかは別の機会に説明する。ここでは、販売価格がいかに標準的な価格から乖離しているかを確認してほしい。
◇天下りの実態
「2020 晴海Smart City グループ」を構成するディベロッパーは次の通りである。『しんぶん赤旗』(2014年3月17日)の報道によると、筆者が赤で示した企業に、東京都の元職員が天下りしている。
・三井不動産レジデンシャル (1人)
・NTT都市開発 (2人)
・新日鉄興和不動産
・住友商事 ・
・住友不動産(2人)
・大和ハウス工業・
・東急不動産(1人)
・東京建物
・野村不動産 (1人)
・三井物産(4人)
・三菱地所
・三菱地所レジデンス
◇新自由主義=構造改革の手口
大企業に手厚い支援をして、経済を活性化しよとする政策。これが新自由主義である。労働法制の改悪など規制緩和をすすめるだけではなく、財政面でも大企業をサポートしているのである。その一方で市場原理にそぐわない福祉・医療・教育などは民間に丸投げするので、経済弱者にこれらのサービスが及ばなくなる。
こうした政策により、本当に経済が活性化するのか、再考する必要があるだろう。小泉構造改革からすでに20年近くなる。反映どころが、貧困がますます増えているのが実情だ。
貧困の実態は、下町を歩くとよく分かる。ぼろぼろのアパートに住んでいるひとがたくさんいる。そこから見上げる高層ビルの光景は、同時代の日本を象徴している。
【写真】舛添要一元知事。選手村建設用地の取り引きに知事として関わった。