1. 自公の選挙公約-教育無償化の裏側、背景に構造改革=新自由主義がもたらした貧困

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2017年10月13日 (金曜日)

自公の選挙公約-教育無償化の裏側、背景に構造改革=新自由主義がもたらした貧困

今回の総選挙で自民党と公明党がかかげている公約に教育に関するものがある。自民党は、幼児教育の無償化を打ち出し、公明党は、幼児教育から高等教育までの無償化を打ち出している。

突如として現れたこれらの公約に、読者は突飛な印象を受けないだろうか。もともと日本の文教政策は、少数のエリートを育成して、それ以外の者は、スポーツや道徳教育を通じて、心がけのいい人間(期待される人間像)を育てるというものだった。ある意味では、欧米流の本当の教育を軽視してきたのである。

なぜ、与党は新たに教育の無償化を打ち出してきたのだろうか。

結論を先に言えば、構造改革=新自由主義の導入で、社会格差が急激に広がり、低所得層、特に子供がいる低所得家庭に対して、何らかの処方を施さなければ、これ以上、「改革」を持続することができなくなっているからである。自公政権による教育支援策は、構造改革=新自由主義をさらに進めるための処方である可能性が高い。

貧困の原因はカモフラージュし、消費税を徴収して、それを教育支援という形でバックするというのだから、これは支援でも救済でもなんでもない。ある種のマッチポンプである。完全なペテンだ。

◇新自由主義の下で進む貧困化

いまや預金がゼロの世帯が3割に達しているという。その一方で、大企業による内部留保は、400兆円を超えた。安倍政権の5年だけでも、約70兆円増えているのである。アベノミックスは、大企業にとっては成功している。そのためか、経団連も全面的に安倍政権を支援している。

有効求人倍率や、大学新卒者の就職内定率が上昇しているのは事実だが、裏を返せばこれは、解雇が簡単にできる労働法制が整備された結果である。また、労働条件が悪化して、転職を繰り返す非正規社員が増えれば、有効求人倍率が増えるのは当たり前だ。ブラック企業の問題は、かつてよりも深刻になっているのである。

構造改革=新自由主義の導入が始まったのは、1996年に成立した橋本内閣の時代で、その後、今世紀に入って、小泉構造改革でドラスチックに行われた。安倍政権は、その延長線上にある。

ちなみに、政界で最初に構造改革=新自由主義の導入を叫び始めたのは、小沢一郎氏である。彼の著書『日本改造計画』には、自己責任論まで登場している。

次のグラフは、生活保護受給者数の推移である。構造改革=新自由主義の導入が始まってのち、右肩あがりになっている。出典は厚生労働省。

次のグラフは、低所得者層が全体に占める割合を示している。出典は厚生労働省。


次のグラフは、正規社員と非正規社員の割合の変遷を示したものでる。出典は総務省。

 

これらの3つのグラフでも明らかなように、構造改革=新自由主義の導入が始まってから、国民の生活が破壊されてきたのである。このまま「改革」を続けると、自公政権に対する反発が強まるのは間違いない。そこで庶民からも消費税を払ってもらって、それを教育費という美名でバックしようというのが、自公の「公約」なのだ。悪賢いというほかない。構造改革=新自由主義の導入を止めることが、本当の支援なのだ。