1. リベラル勢力を分断する役割の小池と前原、経団連と経済同友会は安倍政権を支持

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2017年10月06日 (金曜日)

リベラル勢力を分断する役割の小池と前原、経団連と経済同友会は安倍政権を支持

日本の財界を統率する2つの組織、経団連と経済同友会は、希望の党をどう見ているのだろうか。

経団連は衆議院が解散した9月25日に、榊原会長が記者会見を開き、次のような趣旨の発言をした。

小池都知事が希望の党を立ち上げ、その党首に就くことについては、大阪での例もあり、異例なことではない。東京都には多くの課題が山積し、何より2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えている。都知事の職と党首の役割をどう遂行していくのか、見守っていきたい。

また、経済同友会も9月26日に記者会見を開き、小林会長が次のように述べた。

Q :昨日、小池百合子東京都知事が新党「希望の党」を立ち上げ、国政政党の代表に就任すると表明したが、その政治スタンスについて所感を伺いたい。

小林: 大阪でもかつてそういう動きがあったわけで、そのこと自体について大きな感想はないが、まだ生煮えという感じは否めないと思う。明確に消費増税凍結、詳細はわからないにせよ、原子力発電についても廃止に近いような公約になるのではないかという点で、若干、本会の主張とは異なっていると感じる。

経団連も経済同友会も、維新の橋下徹氏の例を上げて、希望の党を静観している。あまり期待していないようだ。小池氏よりもむしろ安倍政権に期待しているようだ。が、希望の党に対しては、別の期待があるようだ?

◇経団連の主要なスタンス

これら2つの記者会見では、安倍政権を強く支持する財界の姿勢が明らかになった。たとえば経済同友会の小林会長は、自民党を支持するのかを問われて、「経済同友会は(創立された)71年前から」政治的に無色としながらも、アベノミックスについては、「持続可能性に非常にこだわりたい」と述べている。経団連の見方も同じである。

以下、参考までに経団連の見解をテーマごとに紹介しておこう。

消費税:2019年10月に予定されている消費税率引き上げが計画通りに実施されるのであれば、経済界としては歓迎したい。2012年の3党合意の内容が変わるとしても、幼児教育の無償化や社会保障制度の充実に向けた安定財源が確保されることになる。

アベノミックス:アベノミクスについて、総合的には大きな成果を上げていると評価することができる。20年間、横ばいであったGDPは500兆円を大きく超えている。税収は消費税引き上げ分を除いても約14兆円増え、企業収益も拡大し、雇用統計の数値は大幅に改善している。数多くの経済統計が改善しており、これは評価すべきである。

働き方改革関連法案:経済界としては、高度プロフェッショナル制度をはじめとする労基法改正案が早期に成立することを期待している。

政治との関係:山積する政策課題を前に進めていくためには、自民党を中心とする与党の体制ならびに安定政権が維持されることが重要である。経済界としては、自由主義経済を柱とする経済政策、企業活動を促進する政策を推進する政党を支持する。

森友・加計問題:森友問題、加計問題を巡る問題について、先の閉会中審査において、安倍総理が出席し、みずからの言葉で反省を示すとともに、きちんとした説明がなされたと認識している。

憲法問題:北朝鮮の脅威が存在する中、自衛隊のあり方を憲法に明記することについては、国民の間で一定の理解は得られているのではないか。

出典

◇内部403兆円、非課税

経団連のスタンスを前提にして自民党の政策が決定されているかのような印象すらある。実際、大企業は、安倍政権の下で莫大な利益を上げている。内部留保がなんと403兆円に達している。この5年間で約70兆円も増えているのである。(ちなみに内部留保に対して課税もされていない)

ある大企業の元役員は、アベノミックスについて次のように評価する。

「安倍政権になってから、ものすごく収益が増えました。笑いが止まらない状態です。大企業にとってはありがたい政策です」

安倍政権は大企業には支持されているのである。ただ、その大企業の割合が極めて少ないから、目立たないだけだ。

その一方で、日本では社会格差が開き、貧困の広がりが深刻な問題になっている。米国社会の悲劇が日本でも起こり始めている。

◇新自由主義の継続

財界は安倍政権の継続を望んでいるのだ。
と、すれば小池氏と前原氏の役割は何か。答えは簡単で、リベラル勢力を分断して、安倍政権を持続させることである。安倍政権が崩壊した場合は、右派連合を組織して、安倍政権の政策を引き継ぐことである。

実際、希望の党のマニフェストは、新自由主義の政策が目白押しだ。自民党とあまり変わらない。

たとえば地方分権。地方へ権限を委譲するといえば、聞こえはいいが、要するに福祉や医療の役割を、地方に丸投げして、財源が不足すれば、地方自治体の権限で弱者を切り捨ててしまうことである。こうして「小さな中央政府」を作り、大企業の税負担を軽減していくのだ。それを「地方政党」と連携して進める政策だ。

小池氏と前原氏は、リベラル勢力を分断する役割を担っているのである。
その意味では、財界からも期待されているのである。