1. 米国CSIS (戦略国際問題研究センター)と日本の右派の間に日本経済新聞社が介在、日本版シンクタンクに前原誠司、石破茂、リチャード・アーミテージら

日本の政治に関連する記事

2017年10月04日 (水曜日)

米国CSIS (戦略国際問題研究センター)と日本の右派の間に日本経済新聞社が介在、日本版シンクタンクに前原誠司、石破茂、リチャード・アーミテージら

本日のメディア黒書の記事は、2014年7月7日に掲載したものである。再掲載する理由は、民進党のリベラル派を切り捨て、自民党の補完勢力との共闘を決めた前原誠司氏に関する情報を提供するためである。

記事の趣旨は、日経新聞の批判になっているが、副次的に前原誠司氏や石破茂氏がいかに、米国の追随主義者であることが読み取れる。これでは共産、社民、立憲民主との共闘はむつかしい。

今回の総選挙で、希望の党は石破氏の選挙区で対立候補者を立てない方針を明らかにしているが、前原氏との関係に配慮したのではないだろうか。

ちなみに記事に登場する北岡伸一氏は、第2次安倍内閣で、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の有識者委員になった人物である。憲法9条の政府解釈変更をも煽った御用学者である。

【2014年7月7日の記事】

政府機関ではないにもかかわらず、実質的に米国政府が軍事的な世界戦略の政策決定を行う際のシンクタンクとして機能し、日本の政策決定に大きな影響を及ぼしている米国CSIS (戦略国際問題研究センター)。この組織と安部内閣をはじめ、日本の右派勢力との関係を調べたところ、両者間に日本経済新聞社が介在して、「プラットホーム」を提供していることが分かった。

既に前出の記事で述べたように、CSISは、リチャード・ アーミテージと、ジョセフ・ナイによる『日米同盟』と題するレポートで日本に対し、集団的自衛権の容認、原発の再稼働、TPPへの参加などを提言し、これを受けて安部首相が、第2次安部内閣が発足した後の2013年2月にCSIS本部を訪れ、日本の軍事大国化を誓っていたことが、CSISのウエブサイトで明らかになっている。

■参考記事:米国CSIS (戦略国際問題研究センター)のウエブサイトで読み解く解釈改憲の舞台裏、安倍首相が米側に「強い日本を取り戻します」

その後、独自の調査をしたところ、既に述べたようにCSISと日本の右派勢力の間に日経新聞社が介在していることが分かった。

◇日本の政策提言機関  

まずは次のウエブサイトを紹介しよう。

日経・CSISバーチャルシンクタンク

なお、わたしは政治を専門に取材しているわけではない。そのために、これからわたしが書くことは、一部の人々の間ではすでに周知の事実になっている可能性が高い。従って、以下は新たな事実を指摘するものではない。実際、以下の記述の裏付けは、一般公開されている上記ウエブサイトで簡単に取れる。

まず、日経・CSISバーチャルシンクタンク(以下、VC)の目的は、次のように定められている。やや長文になるが全文を引用しよう。

【引用】 組織や年齢の壁を取り払って活発な議論を展開し、中堅・若手世代の優れた発想を政策に反映させるとともに世界に発信する―。日本経済新聞社が米戦略国際問題研究所(CSIS)の協力を得て創設する「日経・CSISバーチャル・シンクタンク」は日本にこれまで存在しなかった新しい形の政策提言機関を生み出そうとする試みです。

バーチャル・シンクタンクはインターネット上の電子会議システムを通じて参加者が議論を重ね、リポートや提言をまとめる「仮想研究所」のことです。こうした研究の進め方が先行して始まった米国には、若手核物理学者が核問題について提言するPONIなど大規模な研究者のネットワークが誕生しています。

 日経・CSISバーチャル・シンクタンクは米国で広がる新しい手法を使い、企業や官庁、大学などで活躍する若手・中堅世代の有為の人材に日本の国家戦略を自由に議論してもらうための「場」を提供する試みです。機密保護に優れた電子会議システムを日本経済新聞社が提供し、フェロー同士が安心して密度の濃い議論をできるようにします。

これを読む限り、VCは「CSISの協力を得て創設」した組織で、「企業や官庁、大学などで活躍する若手・中堅世代の有為の人材に日本の国家戦略を自由に議論してもらうための『場』を提供する試み」だという。つまり米国CSISと共同で、日本の進路を模索することを意図しているようだ。

◇日経新聞の自殺行為  

こうした試みの最大の問題は、政策を決定する権限のない組織が、安部内閣と極めて親密な関係にある米国のシンクタンクと一体になって、日本の進路を決めようとしていることである。これはもはや法治国家の姿ではない。主権がだれにあるのかを取りちがえた行為である。

日本人が、自国の進路を自分で決めるのは自由である。当然の権利である。ところがVCには、米国CSISや日本の企業人、官僚、大学の研究者などが、からんでいるのだ。日本の進路を決めるのは、選挙で選ばれた国会議員であること完全に忘れている。

しかも、VCのまとめ役になっているのは、なんと新聞社である。この事実ひとつを取り上げても、異常としか言いようがない。たとえば、米国のNYT(ニューヨークタイムス)が、米国の政界で同じ役割を演じるだろうか?ありえない事である。フランスのルモンドが日経新聞社と同じことをやるだろうか。ありえない事である。ジャーナリズムの実績と伝統を、ことごとくドブに葬り去る自殺行為を断行するはずがない。

日本の新聞人は、ジャーナリズムを完全に取りちがえている。

VCの共同代表である日経新聞社の喜多恒雄社長の次の「あいさつ」自体が、それを物語っている。

【引用】 今般、米CSISとの長年の信頼・協力関係に基づいて立ち上げるバーチャル・シンクタンクには、そうした問題意識も込めています。日本経済新聞社を中心とする日経グループは、この新しい組織をCSISと共に力強く支え、お互いに刺激し合う関係を築いていきたいと考えています。

◇石破茂、前原誠司、リチャード・アーミテージ  

さて、VCにはどのような人物が参加しているのだろうか。主要なメンバーとして、北岡伸一(座長)、石破茂、前原誠司、リチャード・アーミテージ、ジョセフ・ナイ、マイケル・サンデルなどの名前がある。

アドバイザー一覧

「アドバイザー集団」としては、自民党、民主党、みんなの党の議員が参加している。

「アドバイザー集団」一覧

繰り返しになるがVCは、日本の主権は誰にあるのかという、根本的な問題を取りちがえている。