1. 【動画】豊洲移転の背景に規制緩和=新自由主義の導入、豊洲の物流センター化で排除される仲卸業者ら

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2017年09月20日 (水曜日)

【動画】豊洲移転の背景に規制緩和=新自由主義の導入、豊洲の物流センター化で排除される仲卸業者ら

築地から豊洲への移転問題といえば、とかく化学物資による土壌や空気の汚染がクローズアップされているが、ほとんど知られてないもうひとつの大問題がある。それは、食品の物流過程における規制緩和=新自由主義の導入である。それにより、いま仲卸業者が排除されようとしている。豊洲移転は、その象徴的な現象の反映でもある。

われわれが口にする食品は、中央卸売市場(築地)を通じて、仲卸業者により、目利き(品質の見極め)や価格形成が行われ、生産者や消費者の利益を守ってきた。それを担保するための中央卸売市場法などの法律も整備されている。

ところが今、規制緩和の流れのなかで、中央卸売市場法を無視した「市場外取引」が急増しているという。大手量販店が直接取引で食品を入手するようになってきたのだ。その結果、かつては約1250軒もあった仲卸業者が、今は500軒を割っているという。

豊洲移転は、実質的に中央卸売市場の役割にトドメを刺し、市場を単なる巨大物流センターに変質させる。実際、築地が東京都の食品をカバーしていたのに比べて、豊洲で物流センター化が進むにつれて、それが関東全域に広がる見込みだ。この規模拡大により、物流システムそのものが根本的に変わってしまうのだ。

小池ゆり子東京都知事が、豊洲への移転を決めた背景には、単に食品の安全性の問題を「クリアー」したと判断したからだけではなく、従来の流通のシステムそのものを大企業の利益のために形骸化する目的もあるようだ。おそらく石原慎太郎・元東京都知事の頭の中にも同じ構想があったのだろう。規制緩和=新自由主義という両人の思想とも完全に整合している。

こうした状況の下で、いま築地の仲卸業者は何を感じているのだろか。築地で約半世紀のあいだ働いてきた羽根川信氏に話をうかがった。聞き手は、フリーランスライターの山田幹夫氏。

【羽根川信の略歴】
青森県生まれ。盛岡一高卒。大学進学を目指して19歳で上京し、築地のかまぼこ屋で、配達員として働きながら予備校に通った。以後、約半世紀にわたり築地とかかわっている。東京中央市場労働組合(東中労)の委員長を34年務めた。