1. 自民党「リベラル派」のダブルスタンダード、村上誠一郎、野中広務、古賀誠

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2017年08月16日 (水曜日)

自民党「リベラル派」のダブルスタンダード、村上誠一郎、野中広務、古賀誠

ダブルスタンダードという言葉がある。言っている事と、やっている事が正反対になった状況を意味する。

最近、目立つのが「リベラル保守」といわれる政治家たちが露呈しているダブルスタンダードだ。たとえば日本の軍事大国化に対して、嘆いてみせたり、ちょっと苦言を呈したりしてみせるが、共謀罪を含む広義の戦争関連法案の採決になると賛成票を投じる。逆のスタンスを示すのだ。

たとえば次の方々である。

村上誠一郎(自民党)

政治家になるのを夢見ていたという村上氏の叔父がかつて20代前半で太平洋戦争で戦死したことなどを振り返り、若い自衛隊員を戦地に送るのにもかかわらず、そうした隊員達の命をどう守るのかなど、人命に関する議論が優先されていないなど、悔しさをにじませながら、涙ながらに心情を吐露した。■出典(Huffpost)

野中広務(自民党)
古賀誠(自民党)

 「死んでも死に切れない」(野中広務・元官房長官)、「恐ろしい国になっている」(古賀誠・元自民党幹事長)。24日放送のTBS系「時事放談」で、自民党の重鎮だった野中、古賀両氏が、安倍首相の先の党首討論での発言や「戦争できる国」づくりに厳しい言葉を連ねました■出典(しんぶん赤旗)
 

村上氏は現役の国会議員で共謀罪にも、賛成票を投じてきた。第1次小泉内閣で財務副大臣を、第2次・第3次小泉内閣で内閣府特命担当大臣を務めている。周知のように、小泉内閣は、新自由主義=構造改革と軍事大国化をドラスチックに進めた内閣である。

野中氏は、小渕政権の下で幹事長を務めていた1999年、とんでもない法案を矢継ぎ早に成立させた。具体的には、新ガイドライン、住民基本台帳法、盗聴法、国旗・国歌法である。これらの法案を経て、日本は軍事大国の道を進んでいったのである。

◇選択肢は2つだけ、「進める」か「止める」か

これらの政治家の言動に接すると、どのような政治哲学と方向性を持っているのか戸惑う。軍事大国化に関していえば、それを進めるのか、止めるのかの2つの選択肢しかない。それ以外にはありえない。新自由主義=構造改革についても、同じである。「進める」か「止める」かの選択肢しかない。

彼らの発言を聞く限りでは、「止める」方向性が見え隠れするが、最も肝心な法案の投票行動を見ると、おかしなことに「進める」方向性になっている。9条については、例外的に単純な2分類はできないが、少なくとも日本の軍事大国化と新自由主義=構造改革を進めるための諸法案に、彼ら「リベラル派」が賛成票を投じてきた事実は重い。

なぜ、こんな現象が起きるのだろうか。
おそらくひとつには、主観でしか物事を捉えていないからだろう。感覚や直感に依存して政策を決めているのだ。それゆえに無党派層のように、意思決定が左右に揺れるのだろう。

みずからの戦争体験から戦争の悲劇を感じている。しかし、戦争を止めるためには、何が必要なのかを真に理解していない。あるいは理解していても、自民党という集団の中では、自由な動きが取れなくなっている。

筆者は、何かの社会問題に党派を超えて取り組むことは、国会での戦略上やむを得ない側面があると考えている。しかし、自民党の「リベラル派」による言動で、自民党の本質が隠されてしまうのは大きな問題だろう。「リベラル派」によるガス抜きで、自民党は延命して、長い目でみると、社会の進歩を遅らせる。

自民党のスポンサーは基本的にビジネスしか頭にない財界であり、基本的に住民の利益のために種々の政策決定をしているわけではない。この点は、特に肝心だろう。