東京・晴海の選手村予定地の1200億円値引き事件、恩恵を受けた三井不動産などがオリンピックのスポンサーシップを得ていることが判明
東京・晴海に設置されるオリンピック選手村の予定地を、東京都が約1200億円円の値引きをして民間企業へ払い下げた問題で、払い下げの恩恵を受けた企業の中に、東京オリンピックのスポンサーシップを得ている企業が多く含まれていることが分かった。
この事件は、2016年5月に東京都が地価相場の9割引きにあたる129億6000万円で、選手村用の公有地を払い下げたというものである。これは約1200億円の値引きにあたる。
オリンピックのスポンサーになると、オリンピックのロゴの使用権を得るなど様々な特典が与えられる。そのためにスポンサー企業は、オリンピックと自社製品を関連づけてPR活動を展開することが可能になる。このようなPR方法で極めて高い効果があると言われている。もちろん、スポンサー以外の企業に対しては、このような行為は禁止されている。
この点を考慮に入れて、晴海の払い下げ問題の構図を描くと次のようになる。
企業が高額のスポンサー料(注:金額については調査中)を支払う。しかし、みずからが購入した公有地の代金は、1200億円引きとなる。その土地を使って、企業は公金で選手村を作ると同時に(後に高級マンション)、オリンピックに便乗して自社をPRしていく。
冷静に考えると、スポーツの精神とはかけ離れた恐ろしい金儲けのスキームである。これが「商業オリンピック」の実態なのだ。
※「商業オリンピック」の始まりは、1984年のロサンゼルスとされている。
◇公有地払い下げを受けた五輪スポンサー企業
東京都から払い下げを受けた建設事業者は三井不動産レジデンシャルを代表とする次の大手不動産11社による企業グループである。赤字で示したのが、スポンサー企業、またはスポンサーのグループ企業である。
・三井不動産レジデンシャル ・
・NTT都市開発 ・
・新日鉄興和不動産
・住友商事 ・
・住友不動産・
・大和ハウス工業・
・東急不動産
・東京建物
・野村不動産 ・
・三井不動産 ・
・三菱地所レジデンス・
◇住民監査請求
この公有地払い下げ事件については、5月19日に住民グループが東京都に対して住民監査請求を行っている。
住民監査請求は次のような内容だ。
東京都が再開発制度を濫用し、晴海の広大な都有地(14.4ha)を相場の10分の1以下の129.6億円で売却した財務会計行為は、違法・不当に都民の財産に損害を与えるものであるから、この被害の補填または回避のために必要な措置を講ずることを東京都知事に勧告する。
オリンピック関連の公有地払い下げであるから、東京都が払い下げを単独で決めたとは思えない。また、スポンサーシップを得るために企業が支払った金額と、公有地の値引き額の関係も検証する必要がある。
加計学園の問題よりもはるかに規模が大きく、しかも悪質だ。