1. 使い古された世論誘導とだましの手口、「自民党」VS「都民ファーストの会」の構図、政党名は異なり中身は同じ

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2017年06月29日 (木曜日)

使い古された世論誘導とだましの手口、「自民党」VS「都民ファーストの会」の構図、政党名は異なり中身は同じ

時事通信が28日に配信した東京都議会選の情勢分析の記事によると、「都民ファーストの会」が、優位に立っているという。

公明党など知事の支持勢力を合わせて都議会定数127の過半数の64議席を確保する勢いだ。自民党は、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題などの逆風で苦戦している。

【出典】小池氏勢力過半数の勢い=自民、逆風で苦戦―都議選終盤情勢

他のメディアの分析もほぼ類似している。

一体、小池百合子とはどのような人物なのだろうか。「都民ファーストの会」は、本当に都政に新風を吹き込むのだろうか。筆者は、かつての民主党ブームや、「維新」旋風を連想するのだが。

結論から先に言えば、「都民ファーストの会」は、没落する自民党のダーミーであり、自民党の受け皿である。多くの人々がそれに気づかず、漠然とした斬新さを感じ、またまた世論誘導に騙されようとしている。

メディアがこの点を指摘しないのが問題だ。

選挙の結果、おそらく東京都議会は、自民党と都民ファーストの会が圧倒的な議席を占めて、現在の国会よりもひどいことになるだろう。遅かれ早けれ、小池は自民党タカ派の馬脚を現すに違いない。

◇民主党・維新の騙しのパターンの繰り返し

2009年7月23日付け読売(電子版)に、民主党政権を誕生させた直前の世論調査の結果が掲載されている。

 読売新聞社が21〜23日に実施した衆院選に向けた第2回継続全国世論調査(電話方式)で、比例選の投票先は民主42%が自民23%を大きく上回った。

 小選挙区選も民主は39%で自民の25%より多かった。第1回調査(7〜9日実施)の比例「民主41%—自民24%」、小選挙区「民主41%—自民23%」と傾向は変わらず、民主は衆院解散後も優勢を維持している。

【出典】「比例は民主」42%、優勢維持…読売世論調査

今回の都議選と同じような傾向が現れ、民主党政権が誕生したのである。しかし、これもほとんど報じられていないが、民主党は基本的には、新自由主義=構造改革を目指す政党だった。この点では、自民党とあまり違いがなかった。
2大政党制はいかにも対立構造になっているかのように報じられてきたが、お互いが新自由主義=構造改革の導入を競い合う茶番劇の構図になっていたのだ。

事実、民主党政権になっても、枝葉末節の変化はあっても、国策の基本はなにも変わらなかった。

新自由主義=構造改革に必然的に連動する軍事大国化の方針も、両党はほとんど変わらなかった。両方とも、国際貢献を表向きの理由として、海外派兵への道を開いてきたのである。共謀罪の問題で、「民進党」が反自民になったのは、世論の力に押された結果である。

「維新」についても、当初から自民党よりも右寄りだった。新自由主義の柱に、中央政府をスリム化するために、さまざまな権限を地方へ丸投げする政策があるのだが、その先陣を切ったのも「維新」だった。道州制の導入を主張して、橋下は住民投票まで実施したのである。基本的な方向性としては、自民党と同じ、新自由主義=構造改革派なのだ。

◇小池百合子の思想と政策

小池百合子の経歴を調べてみると、日本会議と深いかかわりを持っていることが分かる。国会議員の時代には、「日本会議国会議員懇談会」で副幹事長を務めた。日本会議の設立10周年には、メッセージを送っている。

【出典】小池のメッセージ

5月3日の憲法記念日を祝日から外すことを提案したこともある。

第1次安倍内閣の時代には、女性初の防衛大臣に就任して、軍事大国化をすすめた。安倍内閣とほとんど同じ思想の持ち主であることは間違いない。

知事になってからは、豊洲へ市場を移す方針を決めた。環境汚染に対する知識がないのか、恐ろしい決定を下したのである。

豊洲では、ベンゼンが環境基準の100倍、シアンが13倍、ヒ素が3.4倍という高レベルの汚染が確認されている。有害な化学物資が気化するわけだから、豊洲で働く人々に人体影響が出る可能性が高い。急性症状がでなくても、5年後、10年後の影響はまったく分からない。

このような場合は、予防原則に従って、施設を使用禁止にするのが政治家の役割なのだが。

晴海に予定されているオリンピック村の用地を、1200億円で値引きして払い下げられた問題も、解明されていない。利権がからみすぎて解明する意思がないのかも知れない。

さらに都議選では、共謀罪法の成立に全面協力した公明党と共闘している。小池のこれまでの経歴からすれば、これもまったく不思議はないが、小池の思想を象徴している。

◇権力構造を維持するだましの手口

それにしても日本の国民は、あまりにも世論誘導のトリックにはまりやすい。確証はないが、都民ファーストの会の登場の背景には、公権力の意図的な戦略があるのかも知れない。保守政治を維持するための世論誘導の戦略である。その罠に東京都民が騙されようとしている。

日本のメディアは、「客観報道」に徹して、ニュースを読む視点を提供しない。それが大きな問題なのだ。

権力構造を維持するためのトリックは共通している。政策が同じ2つの政党が、いかにも対立しているかのように世論誘導して、有権者の投票行動をコントロールすることである。自民党VS都民ファーストの会の構図は、実は使い古されたものなのである。(敬称略)

 

【写真・出典】「小池百合子氏(64)の東京都知事への転出に伴う衆院東京10区補選(23日投開票)が16日、ラストサンデーを迎えた。東京・池袋駅前で行われた自民党公認候補の若狭勝前衆院議員(59)の街頭演説に、安倍晋三首相(62)と小池知事らが応援に駆け付けた。首相が補選の応援演説に立つのは極めて異例。都知事選の“百合子フィーバー”の再現となる約5000人の聴衆が集まる中、知事のグリーンの勝負服と同じ緑色のネクタイを着用するなど、小池氏との“一枚岩”を猛アピールした。」(スポーツ報知)