1. 三宅雪子氏の自殺とツィッターの社会病理

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2020年01月07日 (火曜日)

三宅雪子氏の自殺とツィッターの社会病理

三宅雪子氏の死をメディアが報じた。自殺だという。自殺の原因を特定することほど困難を極める作業はなく、たとえそれを試みたところで他界した本人に真実性を確認することはかなわないので、所詮、自殺についての論考は推論ということになってしまう。しかも、原因が重なっていることもある。

わたしは彼女の自殺の背景には、明らかにネット社会の病理があると考えている。彼女が熱心なツィッターのユーザーであったことは周知の事実である。それが引き金となって、三宅氏と元支援者らが相互に批判を繰り返したこともよく知られている。ネット上の言動が原因で法的係争も次々に起きた。

「炎上」現象の火花は、当事者ではないわたしにも及んできた。三宅氏の投稿に便乗するかたちで熱心な支援者が、「黒薮」が逮捕されたという嘘の情報を流したのである。わたしは「ネットの闇」の取材者だったので、痛痒を感じるどころか、むしろ好奇心を刺激された。ツィッターはここまで人を狂わせるのかと。

「ネット戦争」の中で三宅氏に最も打撃を与えていたのは、みずからが起こした虚偽告訴事件である。これは三宅氏が、5人の元支援者に対して、名誉毀損で告訴した旨をツィートしたことに端を発する。その結果、5人は耐え難い恐怖心に見舞われる日々を送ることになる。

Aさんは、電話の受話器が取れなくなった。呼び出し音に反応して、警察からの呼び出しではないかという想像が脳裏をよぎるからだ。Bさんは精神科へ駆け込んだ。

5人は2年近く苦悩したあげく、弁護士の支援を得て真実を突き止めた。その結果、「告訴」したというのはすべて嘘だったことが判明した。5人は、それぞれのツィッターでこの事実を公表した。プロフィールの欄に、次の声明文を貼り付けたのである。タイトルは、「私たちは元衆議院議員・三宅雪子の虚言で生活を破壊されました」。

「私たちは元衆議院議員・三宅雪子の虚言で生活を破壊されました」

 

この文書が延々とネット上にさらされることになった。それは想像以上に重い意味を持っていた。この声明文がある限り、三宅氏を公認する政党は現れないからだ。

三宅氏が自殺したことが判明すると、この声明文も削除された。それは故人に配慮した正しい措置だろう。しかし、重要な事実関係は正確に記録しておかなければならい。

ネット社会の闇は想像以上に深い。

 

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