2018年04月06日 (金曜日)
検察審査会へ申し立て、新たに刑事告発、高市早苗議員によるマネーロンダリング疑惑
奈良地検が、筆者と市民運動家の志岐武彦氏による高市早苗議員に対する刑事告発を不起訴にしたのを受けて、筆者らは5日、奈良検察審査会に対して、審査の申し立てをおこなった。
筆者らは、昨年(2017年)、高市早苗議員をマネーロンダリングによる詐欺で刑事告発した。それを奈良地検が受理して、調査していた。しかし、既報したように奈良地検は、最終的にこの事件を不起訴とした。それを受けて、今回、検察審査会の審査を申し入れたのである。
◇事件の経緯
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。つまり議員が、自分の政党支部へ寄付を行い、みずから還付金を受ける行為は違法行為である。
告発の対象にした額は、2012年度分の還付金、約300万円である。この年、高市氏は自分の政党支部へ自分で1000万円を寄付して、約300万円の還付金を受けた。結果、実質的な手持ち資金が1300万円になった。お金を循環させるだけで、このような「利益」を得ていたのだ。
同類の手口を森裕子議員も行っており、筆者らは、新潟地検に刑事告発したが、受理した後、最終的に不起訴にしている。
◇判例がない不思議
筆者は、奈良地検が不起訴を決めたのち、担当の検察官に、租税特別措置法の41条18・1に明記されている例外事項、つまり「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」に該当する事例を示すように求めたが、「教えられない」との回答を得た。つまり判例がなく、政治家によるマネーロンダリングに暗黙の了解を与えてきたことになる。
なお、租税特別措置法には罰則規定がない。そこで詐欺罪で刑事告発したのである。
◇所得税法の第238条
昨年の刑事告発は、詐欺を罪名としたものだった。これを受けて検察は、マネーロンダリングが詐欺にあたるかどうかを検討して、詐欺には当たらないと判断したのである。
そこで筆者らは5日、新たに所得税法違反を罪名として刑事告発を行った。
参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【参考記事】高市早苗総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、大臣辞任が妥当
【参考記事】事件の調査をはじめた経緯について