暴力団でも、「5000万円のお金を現金で払え」とは言わない、最近の高額訴訟の非常識、進むモラルハザード
本日(7日)発売の『紙の爆弾』(鹿砦社)に、わたし(黒薮)の著名記事が掲載された。タイトルは、「〝訴えた者勝ち〟で乱発される巨額訴訟『日本の裁判』を問う」。
ここで取り上げた裁判は、作曲家・穂口雄右氏が巻き込まれたミュージックゲート裁判、わたしが体験した4件の読売裁判、ボクシングの亀田兄弟がフリージャーナリスト・片岡亮氏に対して起こした裁判、それにヒロナカ事務所が代理人を務めている池澤裁判である。
池澤裁判では、お金の請求方法に注視してほしい。読者はどのような感想を持つだろうか。原告側の言い分も十分に紹介した。
高額訴訟が大きな社会問題になっていることは周知の事実である。2000万円、あるいは3000万円程度の請求は特に珍しくない状況が生まれている。穂口氏の場合は、なんと2億3000万円の請求だった。
こうした高額訴訟がいかに非常識であるかは、高額請求という行為がなにを意味するのかを、慎重に具体的に考えてみるとピンとくる。訴状に記された請求額が、たとえば5000万円だっとする。これを見た時、大半の人々は、「異常に高い」という驚きを露呈するだけに留まる。
しかし、ヤクザでも暴力団でも、「5000万円のお金を現金で払え」とは言わないだろう。ところが訴訟という形式を取るとそれが堂々と正当化されてしまうのだ。このような高額訴訟を日本を代表する人権擁護団体・自由人権協会の代表理事を務める弁護士(喜田村洋一氏)が引き受けたのである。
その背景には、広義の構造改革のひとつである司法制度改革により、弁護士業務を市場原理に乗せたことがあるようだ。司法制度改革の失敗が現在の状況を生み出した。モラルハザードが広がっている。
この記事では、最近の高額訴訟の実態をレポートした。