文科省の「全国学力・学習状況調査」、露呈した旧世代の教育観、新聞を読む中学生は8.2%
文科省が8月に発表した「平成26年度全国学力・学習状況調査」の調査項目のひとつに、「児童生徒のメディア・社会との関係」と題する項目がある。
この中に「新聞を読んでいますか」という質問項目がある。
回答は、次の通りである。
【小学校】
ほぼ毎日:10.1%
週に1~3回程度:17.2%
月に1~3回程度:22.3%
ほとんど・全く読まない:50.2%
【中学校】
ほぼ毎日:8.2%
週に1~3回程度:13.3%
月に1~3回程度:19.1%
ほとんど・全く読まない:59.1%
調査の結果を踏まえて、一部の新聞業界紙が「新聞を読む生徒ほど正答率高く」といったタイトルの記事を掲載している。しかし、調査結果を見る限りでは、新聞を読む行為と学力の向上の関係は読み取れない。
新聞を読んでいる生徒がたったの10%程度で、しかも多用なメディアが存在する状況下で、新聞を読む行為と学力の向上を調べること自体が難しい。第一、学力とは何かという問題もある。
ちなみに「小説やエッセイ、ルポを読んでいますか?」という設問はなく、新聞だけをことさらに質問項目としてクローズアップしている点も不自然だ。新聞を読んでいる生徒は、もともと文字に親しんでおり、新聞も読むが、書籍も読んでいる可能性が高いからだ。
かりに「活字を読むこと=学力の向上」であれば、どのような文字媒体が学力の向上につながったのかを突き止めなければ、調査の意味はない。
なぜ、児童を対象とした調査で新聞に関連した項目が入ってくるのだろうか。答えは簡単で、小学生のころから、「新聞=信頼できる情報」という先入観を植え付けることである。