毎日新聞の(再版)定価が完全に崩壊、「毎日新聞お客様センター」を電話取材して確認
毎日新聞の購読申し込みのフリーダイヤル(0120-468-012)に新聞の定価を尋ねたところ、再販価格が完全に崩壊していることが分かった。
周知のように再販価格とは、同一商品は同一価格で販売することを原則とする再版制度の下で、メーカーが決めている販売価格である。メーカーによる価格指定は独禁法で禁止されているが、再版制度は独禁法の例外として設けられている。そして新聞にはそれが適用されている。
毎日新聞の場合、公表されている(再版)価格は次の通りである。
「朝刊・夕刊のセット」:4037円(税込み)
「朝刊のみ」:3093円((税込み))
2006年に公取委が再版制度(新聞特殊指定)を撤廃しようとしたところ、新聞関係者が政治家を抱き込んだ大キャンペーンを繰り広げて、この既得権をなんとか防衛したことを記憶している読者も多いのではないだろうか。新聞関係者は、再版価格の厳守など正常な新聞販売を約束して、再版制度の存続を認めてもらったのである。
が、それから10年。毎日新聞の価格は、ばらばらになっている。
次に示すのは、私が新聞購読の情報を得るために電話した時の担当者との会話である。担当者は、購読価格は新聞販売店で交渉できるとはっきりと言った。「販売店ごとにそのサービス分の100円から300円」ぐらい引いているとも断言した。会話は次の通りである。(完全な反訳ではないが、ほぼ、このままの会話である。)
毎日「毎日新聞お客様センターでございます」
・・・・・「朝刊だけ取りたいと思っているんですけど」
毎日「はい」
・・・・・「今、いくらで配達していただけますか?」
毎日「そちらお住まいは何県でいらっしゃるでしょうか」
・・・・・「埼玉県です」
毎日「朝夕刊セットの地域ですので、まあ、朝夕刊が4027円なんですけれども、朝刊のみという場合はですね、夕刊がサービスという扱いになりますので、まあ、販売店ごとにそのサービス分の100円から300円ぐらい引いております」
・・・・・「店によって(価格が)違うんですか?」
毎日「そうです」
・・・・・「・・・」
毎日「販売店に直接相談されるか・・・」
・・・・・「交渉すると、すこし安くしてもらえるわけですね」
毎日「そうです。交渉しだいです」
◆値引きの背景に「押し紙」の存在
なぜ、毎日新聞の定価がまちまちなのか、その理由を都内の元販売店主は次のように説明する。
「販売店は『押し紙』を安価で販売して、少しでも『押し紙』で生じる損害を埋め合わせているわけです。定価が1000円でも、1500円でも、それで購読してもらえれば、古紙回収業者に回収させるよりは特ですから」
いよいよ新聞産業に終焉が近づいている。政治家と会食せざるを得なければならないゆえんにほかならない。逆説的にいえば政治家は、こういう時勢を逆手に取って新聞に軽減税率などの優遇措置を与え、新聞を「政府広報」に変質させる。そして世論誘導により軍事大国化と新自由主義の導入を狙ってくるのだ。
次の動画は、「押し紙」回収の場面である。ビニールの新聞束が解かれないまま、トラックに積み込まれる様子が撮影されている。