1. 博報堂に対して約15億3000万円の不当利得返還請求、通販のアスカコーポレーションが提訴

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2016年05月24日 (火曜日)

博報堂に対して約15億3000万円の不当利得返還請求、通販のアスカコーポレーションが提訴

広告代理店大手の博報堂から過剰な請求を受けていたとして、通販のアスカコーポレーション(本社・福岡市)が、5月20日、同社を相手に約15億3000万円の支払いを求める訴訟を福岡地裁へ提起した。

訴状によるとアスカは、2006年ごろから2015年3月ごろまで、博報堂に情報誌の制作やホームページの更新、さらにコマーシャルを含む通信販売番組の制作と放送などの業務を依頼していた。ところが博報堂側が実際には行っていない作業分の費用を請求していたという。

◇双方が提訴

両社の係争は、昨年の10月に表面化した。博報堂がアスカに対して約6億1000万円の未払い金を請求する裁判を起こしたのを機に、アスカ側は過去の過剰請求を理由として、「反訴」する形となった。

アスカが請求対象にしている分野は、8項目に渡っている。この中には、情報誌、ホームページ、CMなどの制作費のほか、「新聞・雑誌の紙面広告及び折り込みチラシ」という項目もあり、最近、大きな社会問題になっているABC部数(新聞の公称部数)の偽装問題との関係の中で、裁判所がどのような判断を示すかが注目される。チラシの「折り込め詐欺」や紙面広告の適正価格についての検証が行われる可能性もある。

メディア黒書では、8項目の請求項目を、双方の言い分を踏まえて、ひとつひとつ検証を進める予定。

なお、博報堂がアスカを提訴した裁判は東京地裁で審理されている一方、アスカが博報堂を提訴した先は福岡地裁である。2つの裁判は近々に統合される可能性が高い。

◇広告代理店タブーが解消へ

このところ電通によるオリンピック誘致工作や国際陸上競技連盟(IAAF)
との関係が海外で大きな問題になっている時期だけに、業界2位とはいえ、博報堂がらみの訴訟にも注目が集まりそうだ。従来、ジャーナリズムによる大手広告代理店の内部検証には壁があったが、状況が変わる兆しが生まれている。裁判を通じて、多量の内部資料が公になる可能性が高い。

電通によるオリンピック誘致工作については、複数の週刊誌が「電通」という実名を出して報じている。従来はあり得なかったことである。

被災地の岩手県大槌町が博報堂に発注した記録誌編集事業が、データの盗用などで中止に追い込まれた事件については、産経新聞が昨年の12月に報じている。次の記事である。

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町は8日、大震災の記録誌編集事業について、契約上の履行期間内の業務完了が事実上不可能として、事業を請け負った東北博報堂(仙台市青葉区)との契約を解除したことを明らかにした。

町は2月、3社による競争提案審査を実施し、事業の全体管理者として東北博報堂を選定。約250ページの記録誌1千部と、全戸配布する約25ページのダイジェスト版8千部の作成を1250万円で委託した。

納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌としての完成度は低く、いったん期限を11月末に延長。9月には一部の文章で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚した。

作成過程で、町とやりとりするのは印刷会社の担当者で、取材先の選定や交渉、誌面構成などは町に依存しており、実質的に印刷会社への丸投げだったという。町は東北博報堂盛岡支社長らに厳重注意したが、編集作業の体制改善はみられなかったという。10月に納期を来年2月にする再延長の申し出があったことから、期間内の完成は事実上不可能と判断し、契約解除に踏み切った。

平野公三町長は「実績のある会社だったので信頼していた。裏切られたという気持ちがある」と話している。東北博報堂は「町のいう通り、当社の怠慢ということになる。今後、このようなことが二度と起きないように努める」とした。

◆参考記事

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