1. 五輪委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求していた、オリンピック招致問題で電通が関与している可能性を海外紙が報道

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2016年05月23日 (月曜日)

五輪委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求していた、オリンピック招致問題で電通が関与している可能性を海外紙が報道

2020招致計画委員会の竹田恆和委員長が、「平成23年9月1日」から「平成25年4月1日」までの間に、計7回、東京都に対して、総額27億円の補助金を要求していたことが分かった。

この問題に言及する前に、海外紙が報じているオリンピック招致を巡る「賄賂」疑惑の概要を説明しておこう。

◇スイスにある電通の関連会社のアドバイザーへ疑惑の金が

イギリスの『ガーディアン』などは、11日、2020年東京五輪・パラリンピックの招致委員会が、国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長の息子パパ・マサ・ディアク氏が関係する会社の口座に130万ユーロ(約1億6000万円)を支払っていた疑惑で、フランス当局が捜査に乗り出していると報じた。

『ガーディアン』などの報道によると、この事件には、電通が関与しているようだ。まず、疑惑がかかっている資金の振り込み先となった会社と問題の振込先の銀行口座について解説しておこう。

この会社の社名は、BT社(ブラックタイディングズ社)である。BT社が所有する振り込み先銀行口座の持ち主は、イアン・タン・トン・ハン(以下、ハン氏)である。ハン氏は、スイスのルツェルンに本部を置いている電通スポーツ社の小会社AMS(Athlete Management and Services)のアドバイザーを務めている。

ここにまず、電通とハン氏、それに問題の銀行口座の接点がある。

ハン氏と国際陸連の前会長・ラミン・ディアク氏は親密な関係にあるという。また、同氏の息子パパ・マサ・ディアク氏とも親密で、ハン氏は2014年に自分の子どもが誕生した際にマサと名づけている。

国際陸連の前会長・ラミン・ディアク氏らは、IOCの中で極めて強い影響力を持っている。

◇発端は国際陸上競技連盟(IAAF)を柱とした「賄賂」

この事件は、とかく東京五輪・パラリンピックの招致をめぐる疑惑だけがクローズアップさているが、それ以前に、招致委員会と電通の日本サイトと国際陸上競技連盟(IAAF)の関係を慎重に検証しなければならない。

もともとこの問題が発覚したのは、ロシアのスポーツ選手の間でドーピングが日常的に使われていた事件をフランスの捜査当局が、調査するようになったのが糸口だった。おそらくは「賄賂」を調査する中で、たまたま日本からBT社へ送金があった事実が発見されたのである。BT社の口座に疑惑がかかっていたことが、日本側に災いしたともいえる。

こうした展開の中では、当然、国際陸上競技連盟(IAAF)を柱とした「賄賂」の疑惑についても今後、検証する必要がある。問題は、オリンピック「賄賂」だけではない。事実、IAAFとの関連で、次の点が指摘されている。

電通は2029年までIAAFとの間でスポンサー契約を結んでいるが、これはディアク前会長がIAAFが辞任する同じ月に、ディアク前会長自身によって一方的に延長されたものであるという。

◇国際的スポーツイベントとPR戦略

電通が国際的なスポーツイベントの誘致にこだわるのは、スポーツを通じたPR戦略に大きなメリットがあるからだと思われる。それは同時に広告のスポンサーの要求でもある。

たとえばオリンピックが開催されるとなれば、なんらかのかたちでスポンサーになっている企業だけが、オリンピックに名を借りたPR戦略を展開できる。そういうルールになっているのだ。

もちろん、それによりメディア企業に莫大な広告費が流れ込む仕組みにもなっている。

◇東京都から27億円

2020年東京五輪・パラリンピックの招致委員会は、寄付金だけで運営されているわけではない。たとえば、読者は次の事実をご存じだろうか。

2020招致計画委員会の竹田恆和委員長は、「平成23年9月1日」から「平成25年4月1日」までの間に、計7回、東京都に対して、補助金を要求している。その請求額は、約27億円にも達している。

次に示すのが、その証拠ともいえる竹田名義の請求書である。

■竹田恆和から東京都に対する請求書

公的な資金の一部が電通のビジネスに使われている可能性もあるのだ。

大手広告代理店の「闇」を検証する必要がある。