1. 新聞社の販売局員が3年で自宅を新築できた理由、新聞販売店の大物店主から新聞社販売局員への賄賂(わいろ)の相場400万円~800万円

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2016年02月15日 (月曜日)

新聞社の販売局員が3年で自宅を新築できた理由、新聞販売店の大物店主から新聞社販売局員への賄賂(わいろ)の相場400万円~800万円

新聞販売店の所長に、匿名を条件に大物店主と呼ばれる人物と新聞社の担当員の特殊な関係や最近の販売店事情などを語ってもらった

---昔は新聞社販売局の担当員を3年も務めれば、自宅が新築できるといわれていましたが、なぜだか分かりますか?ひとつには、大物店主からの賄賂があるからなんです。業界用語で「ヨーロッパ」と言いまして、賄賂にも相場があります。400万円、600万円、800万円です。

黒薮:何に対する賄賂ですか?

---新聞販売店の経営権の獲得です。大物店主と呼ばれる人は、経営規模を大きくするために、次々と新しい販売店の経営権を手に入れようとします。別の店主が引退したり、強制的に廃業させられた後、その店の経営権を手にいれるために、担当員に賄賂を渡すわけです。その相場が400万円、600万円、800万円なので、「ヨーロッパ」というわけです。

黒薮:金額の違いは何によって決まりますか。

---販売店の場所と新聞購読者数です。特に場所がポイントですね。新聞販売店の経営が軌道に乗るか、乗らないかは場所に大きく依存しています。たとえば新興住宅地など、人口が急増している地域の販売店を手に入れると経営は軌道に乗ります。800万円ぐらいのお金は大きな負担ではありません。

黒薮:大物店主の店には「押し紙」も多いと聞きましたが。

---そのとおりですが、「押し紙」を引き受ける条件として、新聞社が補助金をバックする暗黙の約束があります。補助金があれば、「押し紙」は大きな負担にはなりませんから。こうして新聞社は、大物店主と結託して、ABC部数をかさ上げして、広告収入を増やすわけです。

大物店主の販売店が急に倒産したという話が時々ありますが、これは両者の関係が悪くなり、補助金などをカットされた結果、新聞の卸代金が支払えなくなったのが原因である場合が多いです。

黒薮:「押し紙」の責任はだれにあると考えますか?

---新聞社が悪いわけでも、販売店が悪いわけでもありません。例外も多いですが、基本的には「共犯関係」ですね。新聞社は、販売店に補助金を支給することで、「押し紙」を引き受けてもらいます。それによりABC部数をかさ上げし、広告収入を増やします。一方、販売店は、かさ上げされたABC部数に応じて、折込広告を受注できるので、「押し紙」があっても、それほど負担にはなりません。「押し紙」に相当する折込広告を広告主を欺いて廃棄するわけですから罪悪感はありますが、それが新聞社のビジネスモデルですから、それに異論を唱えると新聞業界にいられなくなります。販売店は、折込広告の収入で成り立っているようなものです。

新聞社の販売局には、「押し紙」に反対している担当員もいます。しかし、そういう人は、遠くへ転勤させられるなど、冷や飯を食わされています。出世できないようになっています。

黒薮:販売店主の自殺が増えていると聞きましたが。

---埼玉県や群馬県、それに東京でも店主の自殺がありました。精神病を患った人も多いです。新聞販売店経営は、昔はよく儲かる仕事でしたが、今はやり手がいなくなって、新聞社の販売会社が店を管理するケースが増えています。従業員の待遇も悪いですから、絶えず人が入れ替わります。