新聞社の裏金作りを示す内部資料を公開、補助金の一部を裏口座に預金、少なくとも2億円をプール
1980年代の時効済み内部資料の一部を紹介しよう。新聞社の裏金づくりの手口と使い道を内部調査した結果を記した報告書である。当時の関係者が生存している可能性があるので、社名と個人名は匿名(B社)にした。
新聞社による裏金づくりが慣行化していた--。にわかに信じがたい話だが、わたしが入手した資料によると、裏金づくりの原理は極めて原始的で単純だ。だれでも理解できる。
結論を先に言えば、新聞販売店に対して支給する補助金の一部をカットして、裏金にする手口である。補助金は通常、新聞一部につき○○円というかたちで支給されるのだが、B社の場合、一部につき20円をカットして、販売局社員の個人名で、「本社周辺の約10の銀行に預金」していたという。
裏口座に預金された金は、「S55年5月の値上げの時まででも約30ヶ月となり、5億7000万円(1900万円×30ヶ月)。これを自由に使っていたが、月額1000万円×30ヶ月=3億円位は浮いていた筈である。」
1部に対して20円のカットでも、部数が多いので、総額は膨大になる。(100部で2000円、1000部で2万円、1万部で20万円、10万部で200万円、100万部で2000万円。いずれも月額)
ただしこの「5億7000万円」という数字については、約2億円という証言や記述もある。数字を確定するためにはさらなる検証が必要だ。
◇報道自粛の背景に経営上の汚点
さて、販売局の社員は、裏金を何に使ったのだろうか?内部資料によると、用途はおもに新聞セールス団の接待(旅行等)、販売店主の「こづかい」などである。販売局の社員も着服していたようだ。
日本の新聞社のモットーは、部数至上主義である。新聞の部数を増やすためには、手段を選ばない。
改めて言うまでもなく、このような「汚点」が公権力に弱みを握られ、報道を自粛せざるを得ない背景なのだ。「押し紙」問題や折込広告の水増し問題だけではない。政治家はこのような「汚点」に付け込んでくるのだ。
ただし新聞記者に責任はない。新聞ジャーナリズムをみずから骨抜きにしているのは、販売局と経営幹部である。