1. 【連載】新聞の偽装部数 カメラが撮影した折込チラシ破棄の現場、段ボールに詰めてトラックで収集場へ

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2013年02月22日 (金曜日)

【連載】新聞の偽装部数 カメラが撮影した折込チラシ破棄の現場、段ボールに詰めてトラックで収集場へ

新聞販売店は、実配部数の卸代金はいうまでもなく、偽装部数で生じる卸代金をも新聞社に納金する。そうすると偽装部数が増えれば増えるほど、卸代金の負担もかさむ。

偽装部数の比率が全体の10%前後であればまだしも、40%、あるいは50%にもなった場合、大きな負担が店主の肩にのしかかる。改めて言うまでもなく、偽装部数は読者がいないので購読料を生まない。そこで卸代金はすべて販売店の自己負担になる。

そこで採用されている対策が2つある。  まず第1は、「連載の第3回」で言及したように、補助金の投入である。販売店は新聞社から支給された補助金を偽装部数の買い取り資金として転用するのだ。

しかし、読者は次のような疑問を呈するかも知れない。新聞社は補助金を支給して販売店に偽装部数を買い取らせる代わりに、偽装部数をなくす方が合理的ではないかと?無駄がないのではと?

当然の疑問である。が、補助金を廃止して偽装部数をなくせば、新聞の公称部数も減じて、紙面広告の媒体価値が低下する。それゆえに偽装部数を販売店へ送り込み、それによって生じる販売店の損害を補助金でサポートする制度を採用しているのだ。

つまりここには新聞社と販売店の共犯関係がある。

たとえば、毎日新聞豊中販売所における2007年1月の搬入部数は1790部だった。一方、実配部数は450部。差異の1340部が偽装部数だった。

毎日新聞社からの請求額は、総部数に対する約397万円である。しかし、毎日新聞社は46万円の補助金を支給した。この補助金により販売店の負担が46万円軽減されたが、それでも約351万円の赤字になる。

◆折込チラシの水増し

そこで登場するのが、折込チラシの水増しである。全店で折込チラシの水増しが行われているとは限らないが、わたしが取材した限り、かなりの店が折込チラシの水増しを行っている。同情的に見れば、偽装部数で生じる損害を相殺するための措置である。

既に述べたように、折込チラシは原則として、偽装部数に準じる。次の例に注目してほしい。

実配部数: 2000部

偽装部数: 1000部 

折込チラシ:3000枚

この場合、1000枚分の折込チラシが水増し状態になっている。この1000枚で発生する不正な収益は、偽装部数による損害を相殺するために使われる。もちろんこのような行為は刑法上の詐欺にあたる。

次に紹介するYOUTUBEの画像は、住民が折込詐欺の現場を撮影したものである。

◆住民が折込詐欺の現場を撮影  

山陽新聞の「押し紙」裁判は、2008年に提起された。販売店が勝訴した唯一の例である。裁判の中で驚くべき実態が明らかになった。

ビデオの冒頭から画面に映し出されている段ボールの中には、水増しされた折込チラシなどが梱包されている。その段ボールをトラックに積み込んで、岡山市の郊外にある収集所へ運ぶ場面が撮影されている。

ちなみにこれらの段ボールを山陽新聞社の販売会社が提供していたことが判決の中で認定されている。

(判決の認定部分=ここをクリック)

ビデオは次の通りである。

(山陽新聞のチラシ破棄の現場=ここをクリック)

◆「新聞社の信用を毀損したから首だ」  

このような新聞のビジネスモデルの中に販売店は組み込まれている。  新聞社が販売店を廃業に追い込みたい時は、このビジネスモデルの特徴を逆手に取る。

たとえば補助金をカットして、偽装部数の相殺を不可能にする。たとえば、折込チラシの水増し行為に言及して、「新聞社の信用を毀損したので取引契約を打ち切る」と開き直る。このような手口で新聞社は、数えきれない数の販売店を廃業に追い込み、裁判所もそれを正当と認めてきた歴史がある。

 (参考:偽装部数《「押し紙」》とは?=ここをクリック)

 (参考:広告主のリスト)