1. 新聞社の埋もれた内部資料が物語る「押し紙」政策の実態、「紙は絶対に切ってはならぬ」

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2014年08月11日 (月曜日)

新聞社の埋もれた内部資料が物語る「押し紙」政策の実態、「紙は絶対に切ってはならぬ」

8月6日付のMEDIA KOKUSYOに掲載した記事(「新聞社の裏金づくりを示す内部資料を公開、補助金の一部を裏口座に預金、少なくとも2億円をプール」)の続編である。

この記事は、新聞社の裏金づくりの手口を、B社が行った内部調査のレポートに基づいて解説したものである。1980年代の資料であるから、秘密にする性質のものではない。事件は時効である。新聞社の販売局の実態、あるいは日本の新聞ジャーナリズムの裏側を知るための歴史に残る重要資料である。

実はこのレポートの中に、たまたま「押し紙」政策についての記述がある。日本新聞協会は、「押し紙」の存在を全面否定しているが、この内部資料では、販売局の当事者が「押し紙」の実態を報告している。

どのような形で「押し紙」が発生するのか、当事者である販売局員が報告しているのである。次の記述である。なお、あらかじめ用語を説明しておこう。

・・・・・・・・新聞。

送り数・・・・・・販売店へ搬入する部数。

(紙を)切る・・・「押し紙」を減らす、中止する。

実配・・・・・・実際に配達している新聞の部数。

 

11)紙数は低下し、一方送り数は切らないという方針だったので販売店の力は極端に落ち、前述のように○○部長時代は粉飾入金をしていたのである。

12)小生が第一部長に在任中に、第一部管内全域に亘って何回も実配調査を行った。これを集計し、ありのままを○○次長に報告し、紙数整理の必要性を訴えたが、「そんな筈はない、その実配調査が間違っている、紙は絶対に切ってはならぬ。」と何度も厳命した。

東京の販売担当から実配率表の提出も何度か求められたが(○○管内全域)、少なくとも第一部に関して云えば、その数字の変更を強制させ、遂にそれを否定すると自ら第一部長の提出した表の数字を改ざんして東京へ送っていた。ある時などは担当地区別に予め自ら数字を記入した表を小生に見せ、このとおりに書いて提出しろと命じたこともある。ある意味では上への報告はウソで固まっていた。

■出典:内部調査レポート

販売局員が新聞の部数にこだわるのは、部数(ABC部数)を増やすことが、みずからの出世に直結するからだ。日本の新聞社の公称部数が、実態とかけ離れている背景である。1980年代から同じような状況が延々と続いてきたといえる。そして今だに何の反省もしていない。「押し紙」は1部もないと公言している。

このような重大な問題を新聞社のコンプライアンス委員会、あるいは第3社委員会に該当する部署は、どのように考えるのだろうか?