2014年09月12日 (金曜日)
新聞に対する消費税の軽減税率問題、適用される可能性が極めて高い、メディアコントロールの道具に悪用か
新聞に対する消費税の軽減税率は適用されるのだろうか?いまや明らかに生活必需品ではない新聞を特別扱いにすれば、世論の反発を招くのは必至なので、適用は難しいのではないかとの見方が有力になっているようだが、わたしは確実に適用されると予測している。
ここ30年を振り返ってみると、新聞業界と政界は、何度か業界権益をめぐる攻防を繰り返している。順を追って説明しよう。
【1】1984年、当時の中曽根内閣は、マスコミ関連の7業種を対象としていた事業税の非課税措置を廃止する方針を打ち出した。ただ、完全に廃止するのではなくて、所得額の50%を控除したうえで、税額を計算する経過措置を取ったのである。
経過措置の期間は3年。ところがこの経過措置は、延々と延長され、結局、廃止されたのは1998年4月だった。13年も先延ばしされたのである。
「廃止は避けられない」と言いながら、13年も延長されたのだ。
この間に中川秀直議員らが自民党新聞販売懇話会を結成して、日本新聞販売協会(日販協)から、政治献金を受けるようになった。
【2】1990年代の後半になって浮上した新聞業界と政界の攻防は、再販制度をめぐるものだった。決着がついたのは2006年。この間、「再販制度の撤廃は避けられない」という見方が有力視されていた。
ところが2006年に、自民党の高市早苗議員や山本一太議員が、独禁法を改正して再販(厳密には新聞特殊指定)問題を扱う権限を公取委から取り上げる法案を自民党の経済産業部会に提出し、公取委の方針を抑え込んでしまったのである。
山本議員は、5年間で3千万円を超える政治献金(群馬県の選管で確認)を受けていた。斡旋収賄罪に問われないのが不思議だ。
高市議員も、後年、政治献金を受けるようになった。
■参考記事:山本一太議員 新聞業界から3千万円献金、見返りに露骨な業界保護活動 http://www.mynewsjapan.com/reports/1163
【3】そして現在進行しているのが、新聞に対する軽減税率の適用問題である。過去の解決パタンーを見る限り、今回も新聞業界は最終場面で、「特権」を勝ち取る可能性が極めて高い。
その根拠のひとつが、政治献金である。150人を超える政治家に献金がばら撒かれている。
■参考記事:新聞発行本社と日販協が一体化した運動を展開、消費税の軽減税率適用問題で、150人を超える政治家に献金も支出
また、日販協が組織する300委員会(全国に300ある小選挙区の政治家支援組織)が、活動している事実も見逃せない。本来、独立した立場にいなくてはならない新聞社の販売組織が、水面下では政界と完全に癒着した実態があるのだ。
◇紙面内容にまで圧力
メディアをコントロールする最も手っ取り早い方法は、経営上の弱点を握って、それをターゲットとした「飴と鞭」の政策を行うことだ。消費税が上がれば、「押し紙」に対しても税が課せられるので、新聞販売網が破たんしかねない。と、なれば新聞社は公権力の言いなりになる。
政府や公取委が「押し紙」を取り締まらないゆえんである。「押し紙」問題を逆手にとれば、新聞をコントロールできる構図があるのだ。場合によっては、紙面内容にまで圧力をかけることもできる。悪質このうえない策略といえよう。
わたしが「押し紙」問題を重大視してきた理由もここにある。
ちなみに安倍首相も、「押し紙」問題を熟知している。「押し紙」について、国会で次のように発言している。
【訂正】9月11日付け記事に、1973年にチリで大統領選挙が実施された旨の記述がありましたが、「総選挙」の誤りです。お詫びします。