1. 元新聞販売店主が語る新聞チラシ「折り込め詐欺」の実態、1日の不正収入が250万円から300万円のケースも

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2016年06月28日 (火曜日)

元新聞販売店主が語る新聞チラシ「折り込め詐欺」の実態、1日の不正収入が250万円から300万円のケースも

 新聞販売店の元店主から、新聞チラシの「折り込め詐欺」の実態を話してもらった。2000年代の初頭の話である。

 ※動画:折込広告の回収の光景。段ボール箱の中身が折込広告

・・・・販売店の経営は、今も昔も、ほとんど折込広告の収入で成り立ってきました。折込広告の需要が多かった時代は、販売店はよく儲かる商売で、熱海のフジヤホテルの別館を借り切って○○会(同系統の販売店主で組織した会)の総会を開いていました。A社の新年会は、帝国ホテルで開いていました。ヨットを持っている店主もいましたよ。

・・・・店主として独立させてもらい、ビルを建てるのが、新聞販売店で働く者の夢でした。決して悪い商売ではありませんでした。

質問:「押し紙」の実態は?

・・・・本社(新聞社)が一方的に過剰な新聞を押し付けてきたことは事実ですが、それで必ずしも販売店が被害を受けるということではありません。たとえば新聞1部の原価が月額2000円としますね。これに対して1部の新聞から月額2600円の広告収入が発生するとします。この場合、「押し紙」の仕入れ代金を差し引いてもまた600円が手元に残るわけです。それに搬入される新聞の総部数に対して補助金がもらえますから、「押し紙」があれば、あるほど商売が繁盛するような仕組みがあったのです。
ただ、折込広告が少ない地域では、「押し紙」が販売店の負担になっていたはずです。

質問:本社(新聞社)は、販売店で新聞が過剰になっていることを知っているのですか。

・・・・もちろん知っているはずです。表向きは、たとえば1梱包分の新聞が販売店に残れば店主を首にするなどと言ってきますが、担当員が販売店を回っている上に、配達員の人数を把握しているわけですから、よほどのバカでない限り、実配部数を把握していないはずがありません。「押し紙」回収業が産業として成り立っていますしね。

質問:「押し紙」があれば、それに伴い折込広告が水増し状態になりますが、余った多量の折込広告を捨てることに罪悪感はありますか?

・・・・折込広告がなければ、販売店の経営が成り立ちませんから、これは必要悪ですね。本社がそういうビジネスモデルを導入しているわけですから、これだけはどうすることも出来ません。しかし、こうした制度はおかしいと言っている販売店主も数多くいます。しかし、「押し紙」を断ると、新聞社は嫌がらせをしてきます。典型的なやり方は、折込広告の割り当て枚数を、新聞の実売部数よりも減らすことです。補助金も減らします。そして最終的に自主廃業へ追い込んでしまうのです。その手口は、悪質です。

・・・・規模の大きな販売店は、株式会社化して何店舗も持っています。わたしが知っている販売店で1日に3万部の新聞を仕入れている店がありました。3万部のうち1万部は「押し紙」でした。ですから、廃棄する「押し紙」と折込広告の量はものすごかったです。折込広告の収入が、1日に250万円とか300万円のレベルになります。しかし、その一部は広告主からだまし取っているわけです。

・・・・以前、回収した折込広告の束が、トラックから落ちて、中身がパチンコ店の折込広告であることが分かって、問題になったこともあります。

質問:解決策は?

・・・・新聞の販売収入と補助金だけで、販売店を経営できる体制を作ることです。今、これをやらなければ、日本の新聞社は崩壊すると思います。そこまで危機的な状態にあります。