1. 千葉県流山市の大野富生市議(NHK党)が広報紙の水増し問題を追及、市当局の見解、「不正があれば契約を破棄して、損害賠償を請求する」

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千葉県流山市の大野富生市議(NHK党)が広報紙の水増し問題を追及、市当局の見解、「不正があれば契約を破棄して、損害賠償を請求する」

千葉県流山市の大野富生市議(N国党)は、26日に開かれた定例会で、広報紙『広報ながれやま』が水増しされている疑惑を取り上げた。メディア黒書でも既報したように、新聞のABC部数が全市で36、836部(2020年4月時点)しかないのに、新聞販売店には55,238部の『広報ながれやま』が搬入されている。千葉日報の部数が若干あるとしても、約2万部が水増し状態になっている。

配達されずに廃棄されている可能性が極めて高い。

■千葉県流山市で広報紙の大幅な水増し、約3万7000の新聞発行部数に対して約5万5000部を供給

また大野議員は、現在の折込定数55,238部(新聞に折り込む媒体の枚数)を固定した時期について質問した。これに対して、同市の総合政策部長は、2016年(平成28年)11月と回答した。つまり新聞のABC部数が大幅に減少しているにもかかわらず、約5年に渡って折込定数を固定していた事実が明らかになった。

ちなみに2016年のABC部数(4月)は、4,3929部であるから、2020年4月の部数からは、1万部を超える部数減となっている。その後、さらに部数が減っている可能性が高い。それにもかかわらず折込定数は固定されたままになっている。

この固定方針について総合政策部長は、流山市の人口が増えているからと説明した。しかし、新聞のABC部数は大幅に減少しているわけだから、整合性のある説明とはいえない。

適正な折込定数の確認方法について総合政策部長は、年間で37回行われる広告代理店(市と販売店の仲介業者)からの報告書に明記された数字を根拠としたと答えた。また各新聞販売店から、実配部数を証明するための押印文書も存在すると回答した。

ABC部数と折込定数が大きく異なっている理由については、流山市に隣接する柏市、野田市、松戸市の市境付近にある販売店の配達エリアが、流山市にもまたがっていることが原因と説明した。つまり柏市、野田市、松戸市の販売店にも『広報ながれやま』と卸しているという説明である。

しかし、それを示す具体的な資料の提示はなかった。配達部数の3分の1以上が、市境をまたいでいることは通常はありえない。それに柏市でも広報紙の水増し疑惑が浮上している。

大野議員はまた、3月に予定されている千葉県知事選挙や10月に予定されている衆議院議員選挙で流山市が採用する選挙公報の折込定数について、数字を明らかにするように求めた。これに対して選挙管理委員会は、『広報ながれやま』よりも多い55,400部に設定すると答えた。

今後の対策を問われて総合政策部長は、年に4回、折込定数を検証することや「水増し」が発覚した場合、広告代理店との契約を打ち切り、過去の損害賠償を請求する方針も明きらかにした。

◆背景に残紙問題

広報紙の水増し問題が全国規模で浮上している。水増しの背景に新聞社による「押し紙」政策がある。日本の新聞業界は、熊本日日新聞など少数の例外を除いて、独特のビジネスモデルを採用してきた。それは新聞の「注文部数」を新聞社が決め、その部数を実際に販売店に搬入する方法だ。販売店は残紙による負担を折込媒体の水増しや補助金によって相殺する。

このような商慣行は、明らかな独禁法違反である。

しかし、販売店にとって実配部数を申告することは、このビジネスモデルから脱退することになる。すなわち廃業である。従って残紙を実配部数と偽って公表せざるを得ない。

責任は、新聞社の「押し紙」政策にある。

国会で「押し紙」問題の追及が始まってこの3月で40年になる。新聞関係者はいまだに「押し紙」の存在を認めていない。読売新聞社は、自社には1部の「押し紙」もないと公言している。これはジャーナリスト集団として異常ではないか?恥を知るべきだろう。記者は声をあげるべきだ。

広報紙の水増し問題が議会で取り上げられたのは初めてである。「押し紙」問題は過去に取り上げられたことがあるが、広報紙の水増し問題は初めてである。

全国に影響を及ぼしそうだ。【詳細は、後日】

 

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