2014年11月18日 (火曜日)
訴訟のリスクを理解していない基地局の地権者、ドコモのように賃料が年間3000円のケースも
携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルで、盲点になっているのが、賃料と引き換えに基地局の設置場所(たとえば、ビルの屋上や畑)を貸す地権者の責任である。
これまで九州では、7件の裁判が起きているが、被告はすべて電話会社で、地権者の責任が問われたことはない。
しかし、わたしが現場を取材した限りでは、基地局設置に反対している住民は、電話会社だけではなくて、地権者に対しても怒りを感じている。住民の健康を犠牲にして、賃料収入を得ているからだ。
◇賃料が年額3000円のケースも
地権者は基地局とは別の場所にいて、まったくマイクロ波による健康被害を受けないケースもある。たとえば東京目黒区のケースでは、次のような構図になっていた。
電話会社:NTTドコモ
設置が計画されたビル:目黒区八雲にあるベネッセの老人ホーム
ビルのオーナー(地権者):藤田商店
藤田商店の事務所は、別の場所にあるので、電磁波の影響を受けずに、賃料収入を得られる構図があるが、幸いにこの設置計画は中止になった。
わたしは、基地局を撤去させる運動では、地権者の責任も追及すべきだと考えている。
特に実際に健康被害が起きた場合は、賠償責任を免れないのではないか。住民が繰り返し撤去を求めても、頑として応じなかったために、住民が延々とマイクロ波を浴び、健康被害が生じたとなれば、損害賠償の対象になるのでは?
健康被害を受けた住民が100人で、損害賠償の請求額が1人につき2000万円とすれば地権者は、20億円の訴訟を起こされることを覚悟しなければならない。
一方、賃料はどの程度なのだろうか。都市部では年間に70万円とも100万円といわれるが、農村では次に示すNTTドコモのケースに見るように年額3000円である。
これで訴訟でも起こされたら、地権者は大きな損害を被る。
しかし、地権者の大半は、こうした将来のリスクをまったく考えない。マイクロ波と健康被害の関係を知らないからだ。また、電話会社を過信しているからである。