1. 楽天の巨大基地局設置の計画、住民らが中止に追い込む、半径7キロをカバー、基地局の正体が明らかに、大阪市浪速区の高層マンション

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2022年05月17日 (火曜日)

楽天の巨大基地局設置の計画、住民らが中止に追い込む、半径7キロをカバー、基地局の正体が明らかに、大阪市浪速区の高層マンション

大阪市浪速区の39階建ての高層マンションの屋上に楽天モバイルが通信基地局を設置する計画が、5月8日、住民らの反対により中止に追い込まれた。住民によると、マンションの管理組合は、基地局設置の賛否を採決する予定にしていたが、住民からの反発が強く、議案そのものを廃案にしたという。

実際、この基地局については、住民の間から戸惑いの声が上がっていた。楽天は、基地局は緊急時用のもので、「普段は停波しており、災害時や停電トラブル時などに起動します」と説明していたが、基地局の規模が尋常ではなかったことが、住民の不安を喚起したようだ。後に判明したことだが、この基地局は、最大で半径約7kmのエリアをカバーする。

また、計画が中止になった背景に、電磁波による人体影響に関する知識が国民の間に浸透し始めて事情もある。

次の記事がこの件に関する初出記事である。

■楽天モバイルが「非常時のみ運用する基地局」の計画を住民に打診、大阪市浪速区の高層マンション 

記事の中で筆者は、楽天に送付た質問状を引用した。次の質問である。

貴社は、「緊急時の基地局」と明記されていますが、普段は稼働しないという意味でしょうか。また、この計画について、近隣住民に対して説明会を開催されたでしょうか。

この質問に対して、5月12日に下記の回答があった。

お問い合わせいただいている件につきまして、ご連絡までお時間をいただき恐縮ですが、社内で確認させていただきましたので、以下の通り回答申し上げます。

「携帯電話基地局の停電対策として、災害用携帯電話基地局として、最大半径約7kmのエリアをカバーする緊急時用の臨時基地局の設置等を行っております。
これは、災害発生時にも、お客様に安心して通信サービスをご利用いただくための取り組みとなります。
基地局の設置に関する個別のお問い合わせについては回答を控えさせていただきます。」

楽天は、基地局の性質について、「災害用携帯電話基地局」と回答した。また規模については、「最大半径約7kmのエリアをカバーする」と述べている。

普通の基地局(4G)の場合、カバーエリアはおおむね1キロ以内であるから、楽天が浪速区の高層マンションに設置を計画した基地局は、かなり強力なものだったことが推測される。

しかし、案内書には、電波防護指針を「大きく下回る微弱な電波を送受信しておりますので、電磁波による人体への影響はございません」と書いている。

わたしは楽天が当該マンションの住民に提供した情報の中身について、総務省と電波を割り当てている近畿総合通信局に問い合わせてみた。

【総務省】緊急時用の基地局という場合、通常は車両に基地局を積んで移動するものをいう。ビルの上に緊急時用のものを設置するという話は聞いたことがない。

【近畿総合通信局】緊急時用の基地局に対して特別に周波数を割り当てることはない。普通の基地局と同じ扱いになる。基地局の運用状態は把握しない.。

つまり楽天は住民に対しては緊急時用の基地局と説明したが、基地局の運用は楽天の裁量に委ねられることになる。

◆基地局設置計画の中止が相次ぐ、横浜市や川崎市で

このところマイクロ波による人体影響について知るひとが増えている。それに伴い、電話会社が基地局設置に失敗する例が相続いている。15日には、神奈川県川崎市でも、楽天の基地局設置計画が中止に追い込まれた。4月中には横浜市の磯子区と西区で、住民が楽天の基地局設置計画を撤回させた。

電話会社が、総務省の規制値を遵守するから安全だと繰り返しても、規制値そのものがデタラメだ。たとえば欧州評議会よりも1万倍もゆるく設定されている。このような説明上のトリックを、多くの住民が知り始めている。