1. 楽天モバイルが「非常時のみ運用する基地局」の計画を住民に打診、大阪市浪速区の高層マンション

携帯電話の基地局問題に関連する記事

2022年05月03日 (火曜日)

楽天モバイルが「非常時のみ運用する基地局」の計画を住民に打診、大阪市浪速区の高層マンション

携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルが増えている。4月中だけで、わたしのところへ7件の相談があった。すべて楽天モバイルの基地局設置に関する相談である。

相談が増えている背景に、情報の入手源に国境の壁がなくなってきた事情があるようだ。欧州では電磁波被曝は、人体に何らかの悪影響を及ぼすという考え方が主流になっている。実際、携帯電話で使われるマイクロ波の規制値は、日本の1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)に対して、欧州評議会は、0.1μW/c㎡を勧告している。欧州評議会は、日本よりも1万倍厳しく数値を設定しているのである。規制の次元が違うのだ。

ちなにみに日本の規制値は、世界標準をも上回っていて、米国と並んで世界で最もゆるやかな規制になっている。しかも、日本の場合、米国と違って基地局設置を規制する条例がほとんどないので、電話会社の事業が野放しの状態になっている。莫大な利益をあげている。

こうした構図の下で、電話会社による「迷惑行為」が急増しているのである。

◆非常時のみ運用する基地局

わたしのもとに寄せられた相談の中から興味深い事例を紹介しよう。

トラブルの場所:大阪市浪速区にある39階建ての高層マンション

電話会社:楽天モバイル

楽天がマンションの管理組合に打診している計画は、この建物の屋上と2階の天井部分に基地局を設置するというものである。このうち屋上に設置する基地局(下の図を参照)について、楽天は次のように住民に告知している。

非常時のみ運用する基地局となりますので、通常時は完全停波しております。
 また非常時には楽天側から遠隔で操作し、電波発射対応を行います。

わたしはこのような基地局の運用を聞いたことがない。基地局は設置するが、「『通常時』は完全停波」の状態にすると住民に説明しているのである。この場合、住民はどのようにして電波状況を確認するのだろうか。通常、電波に関する情報は秘密事項で、総務省はいうまでもなく地方自治体も、電話会社も非公開としている。グレーゾーンにある。

ちなみに賃料は月額10万円となっている。

2階の天井部分に設置する基地局については、通常時の停波は明記していないが、楽天が住民に提示した図によると「5G」エリアは1階だけとなっている。(下の図を参照)このような設置方法もわたしは聞いたことがない。

賃料については、「設置承諾お礼金」が50万円支払われる。さらに電気代として、年間13万5600円が支払われる。

◆楽天モバイルへの問い合わせ

念のために楽天モバイルの広報部に次の問い合わせを行った。回答が得られ次第に紹介したい。

フリーランスライターの黒薮哲哉です。
このメールに添付しました貴社の資料についお尋ねします。
これらは貴社が大阪市浪速区●のタワーマンションの屋上と天井部分に設置を予定されている基地局からの電磁波照射範囲を示したものです。貴社は、「緊急時の基地局」と明記されていますが、普段は稼働しないという意味でしょうか。また、この計画について、近隣住民に対して説明会を開催されたでしょうか。

 

●基地局に関するトラブル相談

 電話:048-464-1413
メール:xxmwg240@ybb.ne.jp

※相談・対策に料金はかかりませんが、プライバシーに十分配慮した上で取材対象になります。