2020年10月20日 (火曜日)
楽天の方針、欧州評議会の勧告値の20倍までの強度で通信基地局を操業、基地局周辺住民に懸念されるガンの罹患率上昇
電話会社による通信基地局設置に拍車がかかる中で、電磁波による人体影響が懸念されている。とりわけ5Gで使われるミリ波の安全性についての不安が広がっている。
昨日、総務省が定めている電波防護指針(安全基準)について、楽天に問い合わせをした。その中で楽天は、総務省の基準が示している数値で、健康被害を防止できると考える根拠について、「総務省が定めた数値であるから」と述べた後、次のような主旨の説明を付け加えた。
「われわれは国の基準の50分の1以下の電波の強さで、基地局を運用しているので問題はない」
総務省が定めている規制値は、1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)である。これに対して、たとえば欧州評議会は0.1μW/c㎡、(勧告値)である。日本の1万倍も規制が厳しい。
楽天が独自に決めている基準は、総務省の基準値の50分の1であるから、20 μW/c㎡ ということになる。確かに総務省の基準に比べるとはるかに厳しいが、欧州評議会の勧告値と比較すると、その200倍も緩やかだ。規制にはなっていない。
日本と欧州評議会で数値に大きな差がある理由は、日本がマイクロ波による「非熱作用」(遺伝子を破壊する作用など)を認定しない見解に立っているのに対して、欧州評議会は、「非熱作用」が生じるという見解に立っているからだ。
従って総務省の見解が間違っていれば、日本人の癌の罹患率は飛躍的に高くなるだろう。特に基地局周辺の住民は、遺伝子毒性による高いリスクを背負うことになる。
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ちなみにKDDI基地局の電磁波による被害を告発した延岡大貫訴訟の中で、被害を訴えた原告(基地局の直近に住んでいる人)宅の3Fでの電磁波密度は、4~5μW/c㎡ ぐらいのレベルだったと記憶している。
裁判は、原告の敗訴だった。この数値は、総務省の基準内であるから、KDDIによる操業は違法ではないとされた。しかし、基地局を中心に広範囲に渡って健康被害が発生したことは裁判所も認定した。(その原因をノセボ効果とした。)
楽天は、最大20 μW/c㎡で基地局を操業することを前提としているわけだから、延岡大貫訴訟で明らかになった被曝レベルよりも、はるかに強い電磁波で基地局を操業することを想定しているといえる。
今後、楽天基地局の周辺住民が健康被害を受けるリスクは高い。
楽天に限らず電話会社は、電磁波に関するトラブルが発生すると、常套手段として「総務省の基準を守っているから人体影響はない」と公言する。自治体もまったく同じスタンスである。総務省の基準そのものが異常だという指摘はどこからもなされない。
これは水俣病など過去の公害事件がたどった道である。