2020年03月20日 (金曜日)
代表電話が分からない楽天、住民の声を無視するKDDI
電話会社のコンプライアンスが問われている。このところKDDIと楽天が、基地局の設置をめぐって住民とトラブルを起こしている。いずれも自社の利益のためには、他人の迷惑も顧みない姿勢を露呈させた。かつて海外進出先でエコノミック・アニマルと呼ばれた日本企業と同様、経済優先の論理で企業活動を展開している。
◆代表電話が分からない楽天
既報したように楽天は、千葉県野田市で基地局の設置を断念した。その後、担当者が基地局設置の中止を求めた住民の自宅を訪問して、謝罪したそうだ。
この事件を取材して、不思議に思ったことがある。わたしの取材力が未熟なのか、いくら調べても楽天の代表電話が分からないのだ。実際には存在する可能性が高いが、ウエブサイト上で連絡先が明確になっていなけば、基地局設置のトラブルが起きても苦情の窓口がないことになる。
ある情報筋から、楽天社員の携帯電話を聞き出して、実際に電話して今回の事件について質問したのだが、その際、代表電話を尋ねたが教えてもらえなかった。
◆住民の声を無視するKDDI
KDDIが川崎市で起こしているトラブルでも、企業コンプライアンスが問われている。同社は、Aさんの自宅(7階建てマンション)の屋根に基地局を設置した。住民への説明では4Gの基地局である。
工事の際にドリルでも使ったのか、Aさんの自宅居間の壁に亀裂が入った。当然、原因を究明して、責任の所在が明確になれば賠償しなければならないが、その前提となるコンタクトすら十分には取れていない。
その一方で、基地局の操業テストでも行ったのか、原因は特定できないが、Aさん一家は低周波音に悩まされるようになった。睡眠を妨害されホテルへ「避難」せざるを得なくなったのである。それに伴いAさんは経済的な負担を強いられた。
KDDIの言い分は、自分たちはマンションの管理組合と契約を結んでいるから、法律に沿って計画を進めるというものである。少なくとも住民説明会では、そんなふうに説明した。
しかし、基地局の影響を直接受けるAさんは、設置を承諾していない。当初、予期しなかった低周波音の問題も浮上している。Aさん一家の生存権をおびやかしてもいいことにはならない。