広告代理店・アルファトレンドが倒産、折込広告の詐欺発覚で
折込広告の「折り込め詐欺」で2010年に訴訟を起こされ、約250万円の返金と弁護士費用の返済で事件を処理した広告代理店が、今年の3月に倒産していたことが分かった。倒産したのは、大阪市と東京都に拠点を構えていた広告代理店アルファトレンド(飯干正芳社長)。
同社は読売広告社(現在、博報堂DYホールディングス傘下)の元社員・飯干正芳氏が設立した会社で、読宣など読売系の会社とも連携して業務を進めていた。
この事件の発端は、アルファトレンドが大阪市内のクリニックに対して折込広告の未払金を請求する裁判を起こしたことだった。このクリニックは、PR活動の戦略として折込広告を採用していたのだが、ある時期から広告効果がまったくないことに気づいた。
そこで原因を調査するうちに、「折り込め詐欺」を疑うようになった。
※「折り込め詐欺」:折込広告の新聞販売店への搬入枚数は、新聞販売店に搬入される新聞の総部数に一致させる基本原則がある。そのために新聞の搬入部数に「押し紙」が含まれていると、折込広告が水増し状態になる。当然、「押し紙」が大量にある現在の状況下では、折込広告の広告効果は期待できない。
「折り込め詐欺」には、折込広告を水増しするもののほかに、販売店に搬入する前の段階で「押し紙」分を捨てる「中抜き」の手口もある。
クリニックは、アルファトレンドに対する支払いを一時的に保留した。これに対してアルファトレンドは、未払い金の支払いを求める裁判を起こしたのである。
◇「押し紙」分の折込広告67万枚を「中抜き」
ところが裁判中にクリニック側が調査したところ、発注した35万枚の折込広告のうち5万枚が新聞販売店に到着していないことが判明。物流のどこかの過程で、「中抜き」されていた疑いが強まったのだ。
裁判は、アルファトレンドの敗訴だった。裁判所はアルファトレンドの請求を認めなかったのである。
ところが事件はこれだけではすまなかった。裁判中にクリニックが行った調査の中で、アルファトレンドが他の広告主に対しても、「中抜き」詐欺を行っていたことが発覚したのだ。クリニックから「中抜き」詐欺を通告された広告主は、(株)バーステーだった。
(株)バーステーは直ちに過去の帳簿類を精査し、アルファトレンドに対して返金を求める裁判を起こした。が、本格的な審理に入るまでもなく、アルファトレンドは非を認めて、約250万円の返金と弁護士費用の返済に応じた。
(株)バースデーが被害を受けていた期間は、2008年6月から2009年3月までの10カ月。同社は、この期間に253万枚の折込広告を発注したが、このうち67万枚が中抜きされていた。さらにこの67万枚のうち、少なくとも42万枚は、チラシの印刷すらも行われていなかった。アルファトレンドは、印刷せずに印刷代を請求していたのである。
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