毎日新聞の2店、「押し紙」70%の決定的証拠、実際の全国総部数は150万部前後か?
読者にとっては、にわかに信じがたい数字かも知れない。ある新聞販売店に搬入される新聞の約70%が「押し紙」だった事実を示す決定的な書面を紹介しよう。毎日新聞の資料で、2007年のものである。10年前には、すでに大量の「押し紙」があった証拠である。
紹介する書面は、毎日新聞の蛍ヶ池店(池田市)と豊中店(豊中市)の2店を経営していた故高屋肇氏からあずかった資料の一部である。
冒頭の書面は、2007年(平成19年)に、高屋氏が蛍ヶ池店と豊中店を廃業した際に、毎日新聞社と交わした書面である。書面に示された部数が、後任者に引き継がれた。
◇搬入部数
まず、搬入部数は、「新聞代原価」の箇所に示されている。次の数字である。
蛍ヶ池店:2320部
豊中店:1780部
それぞれ2320部と1780部を引き継ぎ、それに準じて発生する仕入れ代金の価値として、5,238,700円(蛍ヶ池店)と、3,954,850円(豊中店)が明記されている。ここに示されている部数が、俗にいう搬入部数である。「搬入部数×卸値=仕入れ価格の価値」という構図になっている。
◇発証額
次に発証額について説明しよう。発証というのは、新聞販売店が読者に対して発行した領収書のことである。従って「発証=実配部数」となる。ただし、
未収金の読者が若干いるので、厳密にいえば、実配部数の方が若干多い。発証額というのは、領収書の額面総計のことである。
高屋氏が経営していた2店の発証部数(実配部数)は、次の通りである。()内は、前出の搬入部数である。
蛍ヶ池店:746部(2320部)
豊中店: 500部(1780部)
蛍ヶ池店の場合、2320部が搬入されて、そのうち発証部数(実配部数)は、746部だった。差違の1574部が「押し紙」だった。「押し紙」率は、68%である。
また、豊中店の場合は、1780部が搬入されて、そのうち発証部数(実配部数)は、500部だった。差違の1280部が「押し紙」だった。「押し紙」率は、72%である。
◇なぜ、経営が成り立っていたのか?
「押し紙」が約70%にも達していたのに、なぜ、ある時期までは販売店経営が成り立っていたのだろうか。その要因は2つある。冒頭の書面の「補助奨励金」の欄を見てほしい。
蛍ヶ池店に対して、1,546,800円の補助金が、豊中店に対しては、540,700円の補助奨励金が支給されている。高屋氏はこの補助奨励金で「押し紙」で生じる損害の一部を相殺していたのだ。
しかし、それだけでは十分ではない。幸か不幸か、新聞に折り込まれる折込広告の搬入枚数は、新聞の実配部数に準じる原則がある。従って、豊中店の場合は、実配部数が746部しかないのに、搬入部数の2320部に準じた折込チラシが搬入されていたことになる。豊中店の場合は、、実配部数が500部しかないのに、搬入部数の1780部に準じた折込チラシが搬入されていたことになる。これが「折り込め詐欺」と呼ばれるものである。
高屋氏は、「押し紙」で発生する損害を、補助奨励金と折込チラシの水増しで相殺していたのである。
この事実に高屋氏は悩み、晩年に告発に踏み切り、筆者に膨大な内部資料を提供されたのである。
◇ABC部数のウソ
毎日新聞は、「押し紙」政策を徹底することで、ABC部数をかさ上げしてきたのである。それにより紙面広告の媒体価値も不正につり上げてきた可能性がある。少なくとも部数を偽ってきたことは間違いない。
筆者は、毎日新聞の実配部数は、150万部ぐらいではないかと推測している。
【写真】岸井成格氏(左)、高屋肇氏(右)
【参考記事】【試算】毎日新聞、1日に144万部の「押し紙」を回収、「朝刊 発証数の推移」(2002年のデータ)に基づく試算