いよいよ危ない毎日新聞、ひと月で4万6000部減、試算で年間55万部減、産経は1,2年で倒産の危機、5月のABC部数
2017年5月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞が前年同月比で約32万部の減部数、読売新聞が約20万部の減部数となった。朝日・読売の2大紙の低落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。
一方、ゆるやかな没落傾向にあった毎日新聞と産経新聞も、ここひと月で大きく部数を減らしている。前月比で、毎日は約4万6000部を減らし、産経は約7万4000部を減らした。この数字を12倍して1年に試算すると、それぞれ55万2000部の減、88万8000部の減ということになる。両社の経営規模からすれば、極めて深刻な実態といえるだろう。
特に産経は、現在のABC部数が約152万部なので、このペースでいくと1、2年で倒産しかねない。
ABC部数には、「押し紙」が含まれているので、ABC部数の増減が直接的に新聞社の経営実態を反映しているかどうかは、慎重に検証する必要がある。ただ、たとえ減部数分が「押し紙」であったとしても、それを減らさなければ、新聞販売店の経営が成り立たなくなっているわけだから、新聞業界が急激に衰退していることは間違いない。
中央紙の5月のABC部数は次の通りである。(かっこ)内は、対前年比。(前月比ではない。)
朝日 6,216,135(-324,110)
毎日 3,003,814(-58,432)
読売 8,793,554(-198,117)
日経 2,716,083(-7,027)
産経 1,520,941(-46,364)
◇借金を背負う前に早めの相談を
最近、筆者のもとに新聞販売店からの相談が増えている。「押し紙」で経営が悪化している場合は、借金を累積させて廃業に追い込まれる前に、「押し紙」を断る方が賢明だ。弁護士が介入することで、解決するケースが急激に増えている。「押し紙」裁判に持ち込めば、新聞社サイドが判決を嫌う傾向が生まれている。判例ができると、その影響が甚大になるからだ。
裁判所もこのあたりに配慮しているのか、東京地裁で行われている毎日新聞の「押し紙」裁判は、「弁論準備」を口実にして密室で行われている。憲法では、裁判は公開で行うのが原則なのだが。
当面の対策として販売店は、新聞の商取引に関する書類は全文保管しておくことだろう。それと担当員との会話はすべて録音しておくことが大事だ。
メディア黒書は、もともと「押し紙」問題を告発するためのサイトだったので、今も販売店の相談に応じている。秘密厳守で、もちろん費用はかからない。
相談の電話は、048-464-1413。
【写真】白石興二郎日本新聞協会会長
【参考記事】2020年5月度のABC部数、朝日新聞は「500万部切れ」へカウントダウン、止まらぬ新聞発行部数の急落