1. 読売新聞のABC部数が800万部台に下落、朝日バッシングで部数が減ったという幻想

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2016年06月13日 (月曜日)

読売新聞のABC部数が800万部台に下落、朝日バッシングで部数が減ったという幻想

かつて1000万部の発行部数を誇っていた読売新聞が900万部を切ったことが、2016年4月度の新聞のABC部数で明らかになった。最新のABC部数は、899万8789部である。「読売1000万部」の時代は、事実上、終わったと見て間違いない。

前年同月差では、読売は約11万部の減少である。

一方、朝日新聞の部数は、661万部。前年同月差では、約19万部の減少である。

中央紙各社のABC部数は次の通りである。

朝日:6,606,562(-191,631)
読売:8,998,789(-111,356)
毎日:3,115,972(-185,819)
産経:1,633,827(-30,863)
日経:2,730,772(-8,937)

■4月度ABC部数一覧(全社)

◇朝日バッシングで部数が減ったという誤解

ABC部数の減少は、一般的には読者離れと解釈されがちだが、新聞販売店を取材した限りでは、新聞社の側が自主的に「押し紙」を減らした可能性の方が高い。新聞社にとって「押し紙」が負担になってきたのだ。

「押し紙」が新聞社に負担になってきたと書くと、不思議に感じる読者も多いかも知れない。販売店にとって「押し紙」が負担になるのであれば、理解できるが、新聞社にとって「押し紙」が負担になるとはどういう意味なのかと?

答えは単純だ。「押し紙」の負担を相殺する手段は、折込広告の水増しである。ところが折込広告の需要が落ち込んで、「押し紙」の負担が相殺できなくなってきた。こうなると新聞社は、販売店に補助金を支給せざるを得ない。さもなければ戸別配達制度が崩壊するからだ。

補助金を支給する代わりに「押し紙」を減らすと、ABC部数が落ちるので、これも簡単には出来ない。ABC部数を維持して紙面広告の媒体価値を維持する必要がある。

さらに2014年4月から消費税が5%から8%に上がった。「押し紙」は販売部数として経理処理されるので、「押し紙」にも消費税がかかる。本来は販売店が支払う税金だが、経営が悪化しているので、これについても新聞社は補助金を提供せざるを得ない。

◇自作自演の可能性も

従軍慰安婦問題の「誤報」と「朝日バッシング」で朝日は、大幅に読者離れを起こしたことになっているが、これは間違いで、朝日新聞の側が「誤報」「朝日バッシング」を逆手に取って、これを理由として「PR」し、みずから「押し紙」を減らしたのだ。わたしが取材した限り、「誤報」による部数減は朝日の自作自演である。

不祥事なしに大幅に「押し紙」を切ると、ABC部数が激減して、広告主が不信感を抱くからだ。どうしても理由が必要だったのだ。

事実、朝日がみずから「誤報」を宣言するという奇妙な行動に出たのは、2014年8月。この時期は、消費税が5%から8%になったわずか4カ月後である。3%の税率アップで、「押し紙」が大きな負担になってきた結果だ。他社も同じ事情があったとわたしは見ている。

事実、新聞業界は今、消費税の軽減税率を5%にするように政界工作を続けている。

ちなみに新聞購読を長年の習慣にしてきた人が、「朝日バッシング」程度で購読を中止することはほとんどない。