1. 京都新聞の「押し紙」裁判が和解解決、販売店の実質勝訴も、店主は裁判所に対する不信感

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2015年02月24日 (火曜日)

京都新聞の「押し紙」裁判が和解解決、販売店の実質勝訴も、店主は裁判所に対する不信感

 京都新聞社の販売店が、配達部数を超える新聞の仕入れを強制されたとして起こしていた裁判が、1月に和解していたことが分かった。京都新聞社側が店主に和解金、300万円を支払った。

裁判を起こしていた店主は、1988年から2店舗を経営していたが、過剰な新聞部数(「押し紙」)の卸代金を負担できなくなり2011年に自主廃業に追い込まれた。買い取りを強いられていた新聞部数は、廃業前には搬入される新聞の2割を超えていた。

たとえば同年の1月の場合、販売店への新聞の搬入部数は約6000部だったが、このうちの約1550部が過剰になっていた。これらの新聞は、包装を解かないまま、トラックで回収されていた。

「押し紙」とは、新聞社が新聞販売店に搬入する新聞のうち過剰になっているものを意味する。たとえば2000部を配達している販売店に、3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。「押し紙」に対しても、新聞社は卸代金を請求する。

それゆえに「押し売り」のニュアンスで「押し紙」と言う。

日本の新聞業界には、「押し紙」が慣行化しており、水面下の社会問題になってきた。現在も解決には至っていない。

新聞社は「押し紙」で、販売収入を増やすだけではなくて、新聞の公称部数をかさ上げすることで、紙面広告の価格を押し上げる。そのために広告主企業からも批判の声があがっている。環境問題の観点から、紙資源のムダとの批判もある。

裁判を終えた販売店主は、和解金300万円に納得しておらず、「こんなことになるのであれば、現役の時に裁判を起こしておくべきだった」と裁判所に対する不信感を露わにしている。

一方、京都新聞社は、「(和解は)裁判所からの提案で、この件については、何も申し上げることはございません」と、話している。