1. 広報紙の配布実態調査、石川県のケース、不自然に高い新聞購読世帯率87%

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広報紙の配布実態調査、石川県のケース、不自然に高い新聞購読世帯率87%

この記事は、都道府県が発行する広報紙の配布実態調査の続報である。今回、取り上げるのは石川県の広報紙『ほっと石川』である。石川県の場合、広告代理店を仲介せずに、地元紙である北國新聞に新聞折込とポスティング(個別配達)を依頼する仕組みになっている。

結論を先にいえば、広報紙の配布事業そのものには問題がないが、ABC部数の信憑性に疑惑がある。

『ほっと石川』を印刷しているのは、(株)ショセキである。この会社は北國新聞のグループ企業である。『ほっと石川』をめぐる事業が、北國新聞社に大きな収益をもたらしている。

石川県の広報公聴室が開示した『ほっと石川』の発行部数は、47万2千部(2020年6月)である。これに対して、石川県のABC部数(新聞の発行部数)は、約41万部である。『ほっと石川』の方が、6万部ほど多いが、この過剰分がポスティングに割り当てられると考えれば、一応は正常な取引が行われていると言える。

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しかし、次のような疑問がある。石川県の場合、ABC部数など新聞の公称部数を根拠として計算した新聞購読率が不自然に高いのだ。

2020年6月時点における石川県の世帯数は、約47万世帯である。これに対して新聞のABC部数(朝日、読売、毎日、毎日、日経、北陸中日、北國、その他)の合計は、約41万部である。

石川県の全世帯の87%が新聞を購読していることになる。

日本新聞協会が公表しているデータ(残紙を含む)をもとに計算した2020年の新聞購読世帯率は、61%であるから、不自然に高い。ABC部数に残紙が含まれている可能性があるのだ。

ただ、仮にABC部数に残紙が含まれていても、『ほっと石川』はポスティングもされているので、問題はないという結論になる。

 

念のために北國新聞に次の質問を送付してみたが、返答はない。

北國新聞様

 はじめて連絡させていただきます。
 わたしはフリーランス記者の黒薮哲哉と申します。

 石川県の広報紙『ほっと石川』の配布事業について、教えていただけないでしょうか。
 広報紙の配布方法について、県に問い合わせたところ、新聞折込とポスティングを貴社に委託しているとのことでした。
 そこで次の点についてお尋ねします。

1、 各新聞販売店への配布部数(折込定数)はどのようにして決められているのでしょうか。

2、 ポスティングする住宅は何を基準に、だれが決めているのでしょうか。

3、 広報紙の配布事業を石川県から請け負われた最初の年度は何年でしょうか。

 黒薮