1. 新聞業界--公序良俗違反のデパート、残紙、ABC部数の改ざん、技能研修性の使用

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新聞業界--公序良俗違反のデパート、残紙、ABC部数の改ざん、技能研修性の使用

民法90条を根拠として、残紙の無効と損害倍書を主張する潮流が生まれはじめている。

【民法90条】公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

ウェブサイト上のHP「民法の基本」は、次のように公序良俗を解説しいている。

  伝統的な学説は、公序良俗概念を社会的妥当性の意味に捉えて、社会的妥当性を欠く行為を絶対無効であるとしてきた。だが、近時は、公序良俗概念を再構成する試みがある。有力な見解として、社会的公序と経済的公序を対比させたり、個人の基本権保護と結び付けて考えたりする学説がある。これらの学説の特徴は、公序良俗に反する行為を類型化することによって、違反の効果を柔軟に判断する点にある。

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専門的な解釈と運用は、法の専門家にゆだねるとして、ジャーナリズムの観点から、新聞業界の中で明らかに公共の秩序を乱している行為をクローズアップしてみよう。

【押し紙】新聞社が新聞販売店に対して不必要な新聞部数を押し売りする行為を、広義に「押し紙」という。しかも、その規模は尋常ではない。

読売・濱中訴訟では、搬入される新聞の約50パーセントが残紙となっていた。読売・平山訴訟でも、やはり50%近い残紙があった。ただし、後者に関していえば、裁判所は残紙の中身を、「積み紙」と認定して読売の賠償責任を免責した。

【積み紙】「積み紙」とは、新聞販売店が折込広告の水増しを目的として自主的に買い入れた新聞のことである。折込広告の搬入枚数は、新聞の搬入部数に一致させる基本原則があるので、新聞1部の卸原価よりも、新聞1部が生み出す折込広告収入の方が多ければ、「積み紙」は販売店に損害を与えない。逆に利益をもたらす。

昔から、「新聞販売店は折込広告だけで成り立っている」と言われてきた。

わたしの取材では、「積み紙」行為は特にバブルの時代に横行していたが、折込広告の需要が減った現在は行われていない。ただし、自治体の広報紙の折込に関しては、依然として水増しされている場合が多い。

「積み紙」も「押し紙」も、広告主に対する詐欺行為と表裏関係になっており、公序良俗に違反する。契約は無効である。

このようなビジネスモデルを構築したのは新聞社である。

【ABC部数の改ざん行為】日本ABC協会は、新聞販売店に対して新聞発行部数の公査を実施している。その際に、新聞社の指導下で、日本ABC協会に提出する新聞の扱い部数に関する書類を改ざんしている事実が明らかになっている。

販売店が管理しているPC上の読者名簿に保存されている元読者を、現在の購読者に分類変更して読者名簿を改ざんし、それに連動してニセの領収書を発行する手口である。こうして残紙部数を実配部数に偽るのだ。

毎日新聞販売店でこの改ざん作業を行っていた人物(株式会社デュプロの元社員)の証言から、その手口が明らかになっている。他のコンピュータ管理会社も同じ手口で、取引先の新聞販売店で改ざん作業を行っているとの証言が、メディア黒書に多数寄せられている。

佐賀新聞の「押し紙」裁判の判決の中でも、販売局員が販売店に、ABC公査対策として改ざんを指示していた事実が認定されている。

【景品を使った新聞拡販】景品表示法で規制されている景品の限度額を大幅に超えた新聞拡販が横行してきたことは周知の事実である。テレビ、電子レンジ、自転車などが景品になっていた。

消費生活センターは、昨年、毎日新聞販売店と産経新聞販売店、それに産経新聞大阪本社に対して、措置命令を下した。

現在は影を潜めているが、かつては暴力的な新聞拡販が横行していた。暴力団を装って新聞購読契約を強制したケースもある。

【新聞配達員に関する労務問題】新聞配達員に関する労務問題は昔からあった。新聞奨学生を酷使して、問題になることは少なくない。現在は、安い賃金でベトナム人などの外国人を使っている。近い将来は、技能研修性の採用も検討している。

【政治献金】メディア企業でありながら、日本新聞販売協会の政治連盟が、自民党議員と公明党議員に政治献金を贈っている事実も、ジャーナリズムとしての新聞の特殊な性質上、容認できる行為ではない。