1. 元旦から大量の折込チラシを水増し・廃棄、昨年は内部告発者を弁護士が恫喝する事件も発生

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2020年01月01日 (水曜日)

元旦から大量の折込チラシを水増し・廃棄、昨年は内部告発者を弁護士が恫喝する事件も発生

昨年の夏ごろから折込チラシの水増しが内部告発により表舞台へでてきた。とりわけ地方自治体の広報紙を「押し紙」と一緒に廃棄している実態の内部告発が続いた。

こうした状況の下、新年早々に新しい情報が送られてきた。上の写真がそれだ。(青シートの右は「押し紙」)告発者のPさんによると、お正月の新聞には大量の折込広告が折り込まれるので、必然的に大量の水増しが発生するという。そのために販売店は余った折込広告の保管場所に苦慮する。

写真のケースでは、販売店の敷地に余った折込広告を積み上げ、その上に青のビニールシートをかけて公衆の視線を遮っているという。告発者のコメントは次の通り。

「新聞屋さんは年末年始の余剰チラシが倉庫に収まらないので苦肉の策として敷地内に置いてブルーシートで隠しています」

折込チラシの水増し行為で販売店が得た黒い収入は、「押し紙」(新聞の偽装部数)の「仕入れ代金」として、新聞発行本社へ「上納」される。新聞販売店は、「押し紙」で発生する損害を相殺するために、折込チラシの水増し行為をせざるを得ない。いわば新聞社のビジネスモデルの歯車として、折込チラシの水増し行為が日常化しているといっても過言ではない。

◆ビジネスモデルの崩壊、恫喝事件も発生

折込チラシのPR効果という観点からいえば、折込チラシはポスティングされるチラシよりもはるかに効果が高い。ポスティングされるチラシの9割ぐらいはポストからゴミ箱へ即座に捨てられるが、折込チラシは新聞に折り込まれたままほぼ全部が室内に持ち込まれるからだ。読者の目にふれる機会が多い。

しかし、新聞の実配部数そのものが激減しているので、需要は徐々に減っている。今後、折込チラシの水増しが社会問題として浮上してくれば、クライアント離れが加速して販売店も新聞発行本社も壊滅的な打撃を受けるだろう。

昔から、「販売店の経営はチラシの水増しで成り立っている」と言われてきた。そのビジネスモデルがいよいよ窮地へ追い込まれている。

新聞の没落が進むなかで、昨年は内部告発者に対する恫喝事件も発生した。裁判記録が東京地裁に保管されているので、調査することになる。

日本新聞販売協会の元会長のKがKDDIに対して、Pさんのウエブサイトに関する情報を開示するように求めて裁判を起こし勝訴した。その後、弁護士を通してKさんを恫喝したというのがおおまかな筋書きである。