1. 全国の新聞発行本社が組織的にABC部数を操作、4月と10月が水増しのピーク、新聞人が折込詐欺に関与している決定的証拠

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全国の新聞発行本社が組織的にABC部数を操作、4月と10月が水増しのピーク、新聞人が折込詐欺に関与している決定的証拠

折込チラシの水増し行為を新聞発行本社が業界ぐるみで主導してきた疑惑が浮上している。筆者は、12月11日付けメディア黒書の記事で、産経新聞のABC部数が4月と10月に限って増える背景に、4月部数と10月部数が折込チラシの定数(販売店に搬入する枚数)を決定する基礎資料として採用される事情に言及した。

その後、全新聞社(日刊の一般紙)の総計ABC部数の上下動を調査したところ、やはり産経新聞と同じパターンになっていることが判明した。3月から4月にかけてABC部数が増え、4月から5月にかけて減数する。さらに9月から10月にかけて再びABC部数が増え、10月から11月にかけて再度減部数する。

たとえば次に示すのは2008年度における全新聞社のABC部数の月別上下動である。

3月:44,669,125
4月:44,777,991
5月:44,637,318

9月:44,505,765
10月:44,598,515
11月:44,437,352

4月と10月に約10万部水増しされている。新聞1部が生み出す折込チラシの料金が月額1500円とすれば、1億5000万円の不正な収入をあげている計算となる。この数字は全国の新聞社を対象としたものであるから決して大きな数字ではないが、全国の新聞社が組織的に折込チラシの水増し詐欺に関与している高い可能性を示す根拠といえよう。

◆折込チラシは優れた宣伝媒体だが・・

新聞販売店は折込チラシの水増しで、広告主から不正な手数料を徴収しているが、それよりも問題なのはこの不正な収入を新聞社が「押し紙」の卸代金(販売収入)として徴収している事実である。従って販売店が折込詐欺をはたらいていても、それで利益を上げているとは限らない。着実に利益を上げているのは新聞社である。

折込チラシは宣伝媒体としては優れている。というのもポスティングのチラシがポストからそのままごみ箱へ直行するのに対して、新聞に折り込まれたチラシは新聞と一緒に自宅内へ持ち込まれるからだ。つまり読者の目に触れる機会が圧倒的に多いのだ。

しかし、水増し行為が日常化しているということになると、広告主は警戒する。こうした事態を警戒して大半の販売店は正常な取引を希望してる。が、新聞社の理不尽な命令に従わざるを得ない実態があるのだ。

 

※直近5年のABC部数の変動については調査中。