1. 船橋市の新聞販売店50店が「見守り活動」、警察と連携した住民の監視にエスカレートする懸念

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2019年09月11日 (水曜日)

船橋市の新聞販売店50店が「見守り活動」、警察と連携した住民の監視にエスカレートする懸念

千葉県船橋市にある約50店の新聞販売店でつくる船橋市新聞販売同業組(吉岡宏組合長=読売・船橋中央店)は、船橋市と協力して住民の「見守り」活動に乗り出すことになった。全国の警察と覚書を交わして連携を取りながら「見回り活動」を実施している読売新聞販売店の活動に追随する動きである可能性が高い。

【参考記事】全国読売防犯協力会を考える、本部は読売新聞東京本社内に設置、元警察官ら5人が勤務①

業界紙の報道によると、船橋市新聞販売同業組は「船橋市地域見守り事業の協力に関する協定」を市内湊町の船橋市役所で締結した」という。

吉岡組合長は「船橋市内には約50の販売店があり、朝日、毎日、読売、産経それぞれが新聞を毎日配っている。約500の区域を500人の従業員が、配達することで地域の隅々にまで目を光らせる。また、集金でも約300人が働いている。彼らは船橋市内の様子を熟知しており、変化に敏感だ」

見守り事業の目的は、孤独死をふせぐことだそうだが、吉岡組合長は警察に防犯協力している読売の店主であり、同じ方向性がこの事業の根底にある可能性もある。

孤独死を防ぐための見守り事業そのものは、否定すべきことではないが、何が目的でこうした活動に新聞販売店が乗り出してきたのか、その背景を考えてみる必要があるだろう。本来は、孤独死の防止は行政の仕事なのだが。販売店の仕事ではない。

◆「赤」のブラックリストに
なぜ、見守り事業が問題なのだろうか。それはこの種の活動が住民監視に変質することがままあるからだ。新聞社と公権力の癒着はいまや公然となっている。その公権力が、新聞販売網という日本の津々浦々まで入り込んだ組織網を使って、住民を監視しすれば、警察による見回りよりも遥かに効果がある。

警察が戸別訪問するためには、それなりに理由を要する。ただ様子をうかがうために、不特定多数の民家を訪問することは不可能だ。ところが新聞の集金を目的に戸別訪問すれば、少なくとも玄関には踏み込むことができる。その時、乱雑に靴が散らかっていれば、家の中で会議でも行われていることがうかがい知れる。そこで警察に通報しておけば、警察は、「赤」のブラックリストにこの家を登録できる。

◆グアテマラ内戦中の自警団
グアテマラ内戦の時代(1960年~1996年)、軍事政権の下で「自警団」と呼ばれる住民監視の制度があった。これは住民が町や村を巡回して、解放戦線のシンパと思われる人物を発見したときは、警察に通報する制度である。住民の方が路地裏の細部まで知っているから、効果的な監視ができることに着目した制度である。

戦時中の「隣組」も同じ発想だ。

まったく同じ発想に基づいた住民監視が、日本でも広がっているのだ。船橋市新聞販売同業組は、近い将来に、読売と同様に警察と覚書を交わすのではないか。

住民監視する前に、折込詐欺の監視の方が先ではないか?