1. メディア黒書の記事に八木啓代氏が抗議、八木氏の反論を掲載、八木氏はメディア黒書の黒薮に対し2件目の裁判提起を示唆

「森裕子VS志岐武彦」の裁判に関連する記事

2016年03月10日 (木曜日)

メディア黒書の記事に八木啓代氏が抗議、八木氏の反論を掲載、八木氏はメディア黒書の黒薮に対し2件目の裁判提起を示唆

歌手で作家の八木啓代氏(司法改革を実現する国民会議共同代表)がメディア黒書の記事に疑義を唱えてきたので、同氏の反論を掲載することにした。

八木氏が指摘している記事は、2015年11月26日付けの次の記事である。

■八木啓代氏に10万円の賠償命令、志岐氏の主張の一部を認め、八木氏の抗弁(反論)はまったく認めず、「八木VS志岐」裁判

記事の一部を引用しておこう。

市民運動家の志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏に対して、多数のツイートなどで名誉を毀損されたとして、200万円の賠償を求めた裁判で、東京地裁の佐藤隆幸裁判官は、25日、志岐氏の主張の一部を認め、八木氏に対して10万円の支払いを命じた。

原告(志岐氏)と被告(八木氏)の双方から多量の書面が提出されたにもかかわらず、判決では志岐氏の主張の一部が認められたにとどまった。

志岐氏の主張に関していえば、裁判所が名誉毀損として認定したのは、八木氏が発信した6件のツイートと1件の電子メールである。

一方、被告・八木氏の抗弁(志岐氏に対する反論のこと)については、まったく認められなかった。すべてが不認定となった。

八木氏は、9日付けのEメールで、次のように伝えてきた。

「八木氏の抗弁(反論)はまったく認めず」「すべてが不認定になった」というのはまったく事実に反しております。

そこで八木氏の反論をそのまま掲載することにした。が、その前にここにいたる経緯を手短に伝えておこう。

◇発端は小沢検審疑惑

2013年10月に元参議院議員の森裕子氏が、市民運動家の志岐武彦氏を提訴した。小沢一郎氏に対して起訴相当議決を下した東京第5検察審査会が架空だったのではないかという説を巡り、志岐氏と森氏は対立を深め、ブログなどで論争を展開していたのだが、森氏が提訴に踏み切ったのである。

この論争では、八木氏が多量のツイッターで志岐氏を批判していた。そして裁判では森氏のために陳述書を提出した。

判決は2014年8月に下された。志岐氏の勝訴だった。森氏が控訴しなかったので、判決はそのまま確定した。

勝訴した志岐氏は、八木氏の多量のツイッターが名誉毀損にあたるとして、八木氏を提訴した。判決は、2015年11月に下された。志岐氏の勝訴だった。今回、八木氏が問題にしてきたのは、この裁判の判決を伝えるメディア黒書の記事(上記のもの)である。

記事の中でわたしは八木氏の反論(長文なのでPDF形式)を掲載した。その中に、「志岐氏の重大な虚言癖」という表現があった。それを知った志岐氏は、メディア黒書に対してコメントの削除を求めた。

わたしは志岐氏の申し出を断った。コメントは八木氏の反論であるから、削除できないと通知した。そこで志岐氏が八木氏に対して名誉毀損裁判を起こしたのだ。ただし、それは簡易裁判だった。わたしはすぐに決着が着くと思った。

ところが3月7日に開かれた第1回の法廷で、簡易裁判所はこの件を東京地裁へ移す決定を下した。裁判の長期化が予測されるので、わたしは八木氏に対して、希望があれば暫定的に一旦、コメントを削除する旨を伝えた。

これに対して八木氏は、次のように回答した。

私のコメントの中の「志岐氏の重大な虚言癖が明らかにされそうになって、」の部分については、削除を希望いたします。

それ以外の点についてですが、黒薮氏の書かれた、「八木氏の抗弁(反論)はまったく認めず」「すべてが不認定になった」というのはまったく事実に反しております。

私の主張は一貫して、表現の自由の範疇であり「名誉毀損に当たらず」というものであり、抗弁のうちの認められなかったのは、被告準備書面6にある、「万が一、名誉毀損に当たるとしても、『対抗言論の法理』や『緊急避難』が認められるべきである」とした部分に過ぎません。

したがって、私の反論も、「一部」が認められなかったに過ぎないにもかかわらず、「まったく認めず」という虚偽内容の記事を書かれているわけですので、この部分の訂正を求めます。

志岐氏が、このコメントをもって提訴をされるのであれば、反訴を行うと共に、私もこの部分をもって、黒藪さんを提訴させて頂くことになるでしょう。(略)

なお、八木氏はそれ以前に、2015年3月、志岐氏とわたしに対して200万円を要求する名誉毀損裁判を起こしている。本人訴訟である。わたしに対する請求理由は、次の記事で名誉を毀損されたというものである。

■【特報】「志岐武彦VS八木啓代」の名誉毀損裁判、背景に疑惑の小沢一郎検審をめぐる見解の違い

この裁判は現在も進行中で、3月15日に本人尋問が行われる。

◇八木氏の全面敗訴という評価の根拠

ちなみにわたしがメディア黒書の記事で、八木氏の抗弁がまったく認められなかったと書いた根拠は次の通りである。

志岐氏が損害賠償の対象とした約200件(リツイートも含む)のツイートの大半が名誉毀損ではないと認定されたとはいえ、それが逆説的に八木氏の主張を認めたと解釈できないこと。それは判決文に添付されているツイートの評価一覧表を見れば分かる。原告・被告・裁判所の判断に分類されている。

■判決文のうちツイートを評価した部分(一覧表)

判決のうち、八木氏の抗弁について判断した記述では、いずれも八木氏の主張が退けられていること。判決文の17ページ、「5 争点⑤(対抗言論の法理、真実性、正当防衛、緊急避難その他の抗弁の成否)について」の部分である。

■判決文

◇八木氏の反論

これに対して八木氏の反論は次の通りである。

判決文のP5のが「本件ツイートが原告の名誉を毀損するものではない」という点と「表現の自由の範疇に含まれ、原告の名誉を毀損するものではない」というのが私の主張であり、一方、志岐氏の主張が、数百のツイートの全てが名誉毀損性があるものであるというものであったにもかかわらず、名誉毀損性が認められたのが、わずか数点であったという点そのものが、私の主張の大半(要するに、私のツイートは名誉毀損性がないものである)を、判決が追認したものであるということです。

唯一、私の1/20敗訴部分と言えるのは、「肯」とされた部分に対しての、「万が一、名誉毀損に当たるとしても、『対抗言論の法理』や『緊急避難』が認められるべきである」とした部分に過ぎません。したがって、私の主張の全てが「まったく認められなかった」という論評は事実に反するものです。

■八木氏が自分の準備書面の中で指摘している関連箇所(メディア黒書宛てに送付されたもの)

■名誉毀損裁判の訴因となった八木氏のコメントの修正版

◇本人尋問のお知らせ

なお、問題になっているメディア黒書の記事にある八木氏のコメントは、八木氏が修正したものに差し替えた。

八木氏がわたしと志岐氏を訴えた裁判の本人尋問の日程は次の通りである。

  東京地裁624号法廷
  3月15日 14:00~16:00
   八木、黒薮、志岐の順番

繰り返しになるが、八木氏が名誉毀損だとしているのは次の記事である。

■【特報】「志岐武彦VS八木啓代」の名誉毀損裁判、背景に疑惑の小沢一郎検審をめぐる見解の違