1. 奈良地検・皆川剛二検察官が高市早苗前総務大臣を不起訴に、政治献金の還付金問題で、理由書は白紙同然

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2018年02月23日 (金曜日)

奈良地検・皆川剛二検察官が高市早苗前総務大臣を不起訴に、政治献金の還付金問題で、理由書は白紙同然

奈良地方検察庁の皆川剛二検察官は、2月19日、筆者と市民運動家の志岐武彦氏が連名で告発していた高市早苗前総務大臣に対する刑事告発を不起訴にする決定を下した。

筆者らが問題にしたのは、高市氏が受け取った政治資金の還付金である。

議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

高市氏は、この制度を利用して、2009年度に「山本早苗」の名前で、総額約1620万を自分の政党支部に寄付し、還付金・約485万円を受け取った。つまり1620万を「投資資金」として運用し、485万円の還付金を受けたのだ。その結果、自分の「持ち金」を1620万から2015万円に増やした計算になる。これがマネーロンダリングと呼ばれるものだ。

しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。筆者らは、高市氏のケースを、「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」場合と判断して刑事告発に踏み切った。奈良地検は、告発状を受理して、調査をしていたが、最終的に不起訴にしたのである。

◇問われる職能、民間企業であれば解雇の対象

この事件を調べた志岐武彦氏が、奈良地検から「理由書」を取り寄せたところ、不起訴の事実しか記されていなかったという。つまり「理由書」は、実質的には白紙ということになる。中学校や高校の作文の授業で、白紙を提出すれば、0点である。これだけ重大な事件を調査した検察官が、白紙同然の作文しか書けないのだから驚きだ。そもそも事件を調査する職能があるのか疑問に感じる。民間企業であれば職に適正がないということで完全に解雇の対象になる。

不起訴にした理由が不明なので、断言はできないが、筆者の推測では、租税特別措置法の41条18・1に明記されている還付金制度適用の例外事項、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」という部分ではないかと思う。

実は、この部分の解釈をめぐっては、政治家が自分の政党支部へみずから政治献金を行い、還付金を受けても、違法行為ではないという我田引水の意見があるのだ。が、これはあくまでもひとつの意見に過ぎない。その意見がいつのまにか、法解釈となり、今回も適用された可能性が高い。自分の頭で考える習慣がないから、こんなことになるのだろう。

筆者は、ある事柄が法律に抵触するかどうかの判断は、事実関係を基準として行うべきだと思う。高市氏が、特別な利益を受けた事実があるか否かが判断基準のすべてなのだ。一般の有権者は政治献金をしても、特別な利益は得られない。1000万円寄付すれば、700万円は他人の手に渡り、300万円しか残らないのだ。財産を減らすのだ。

これに対して、政治家が1000万円を自分の政党支部に寄付すれば、1300万円になる。手持ちの金が増える。これが「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」ケースなのだ。従って、高市氏のケースは、租税特別措置法の41条18・1の例外事項に該当するのである。

大半の政治家は、高市氏のようなことはやらない。重大な問題があると考えているからである。かりに全国会議員がそれぞれ、毎年、1000万円を自分の政党支部に寄付して還付金を受けることになれば、一議員につき300万円を還付金として税から支出することになる。この額は、フリーターの年収よりも高いだろう。

検察の腐敗は昔から問題になってきたが、これでは正義の番人の役割を果たしていない。それを放置してきたマスコミにも問題がある。

【参考記事】高市早苗総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、大臣辞任が妥当